豊島逸夫の手帖

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国際金価格、下値模索へ

2023年5月19日

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国際金価格は1960ドル台まで下げている。
来週にも米債務上限問題の妥結が見込まれるというあまり根拠のない楽観が要因だ。昨日は米地銀株も反騰している。ひとまず危機は去ったのか。まだ構造的問題は残っている。
更にNY金市場は6月利上げ見送りから利上げ継続へ潮目が変化して、ドルインデックスも101台から103台まで上昇してきたことを重視している。
最新のFEDウォッチによれば、18日に6月利上げ確率が36%にまで上がってきた。1週間前は10%、17日には28%と徐々に上がっている。対して利上げ見送り確率は89%から63%にまで下落している。

6月も利上げ継続を示唆するFRB高官のタカ派的発言が相次いでいるからだ。
5月15日にはアトランタ連銀ボスティック総裁が年内利下げを否定した上で、次の一手はどちらかと言えば「up」と利上げを示唆した。
更に同日にはミネアポリス連銀カシュカリ総裁が「労働市場はホットでまだやらねばならないことがある」とこれも利上げを匂わせた。
シカゴ連銀グールズビー総裁はハト派だが5月FOMCでの利上げ決定は「際どい判定」であったと明かし、内部の亀裂を示唆した。
更に18日にはダラス連銀ローガン総裁が「これまでの経済データでは6月利上げ見送りは正当化できない」と言い切った。セントルイス連銀ブラード総裁もFTとのインタビューで次回のFOMCでは「ダメ押し的な」利上げに動くと明言した。

5月FOMCではこれが最後の利上げということが示唆されたのになぜ利上げ継続観測が強まっているのか。そもそもCPIコアが4.9%と目標の2%からは程遠いこと。更に金融政策にタイムラグがあるとは言え想定以上に米国経済は底堅いからだ。個人消費もまだら模様とは言え総じて打たれ強い。18日発表の新規失業保険申請件数は先行指標として重視されたが、24万2000件と3週ぶりに減少して労働市場で解雇は増えず依然堅固であることを示した。
なお、金市場も期待する「利下げ」のハードルは高い。この1週間で年内利下げ3回の確率は48%から15%にまで下落。対して利下げ1回の確率は2%から32%へ急上昇している。
結局FRB側は利上げ継続の可能性が膨らみ、市場側は利下げの可能性が萎んだ。それでもFRBと市場との予測の相違は0.5%から1%のレンジで極めて大きい。
最終的にどちらかに収れんする時、国際金価格も為替も大きく動きそうだ。
筆者は8月下旬恒例のジャクソンホール中央銀行フォーラムを重要な転換点と見ている。
なお、為替は138円まで円安に振れている。これは6月利上げ観測が強まり、ドル高そして円安になったためだ。

最後に本日の主なニュースは、
1.大谷翔平選手10号ホームラン
2.日経平均株価バブル後の最高値を更新

2023年