豊島逸夫の手帖

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PCE物価上昇率について

2023年12月26日

12月22日に発表されたPCE(消費支出)コア物価上昇率について説明しておきたい。

このインフレ率はCPI(消費者物価上昇率)より幅広いカテゴリをカバーするので、FRBが最も重視するインフレ率だ。コアは変動の激しい原油や食料品を除く数値である。最近は原油が下落しているので、原油価格を含まないノンコア(或いはヘッドラインとも呼ばれる)の方が高く出る傾向がある。

前置きはそれぐらいにして、そのコアの11月分が22日に発表された。
結果は年率で3.2%まで低下。過去6か月平均(6~11月と22年12月~23年5月)の比較でみると、年率で1.9%と2%のFRB目標を下回った。

「いよいよインフレ減速はホンモノか」、「利下げも想定より早まるかも」との思惑で金は大幅に買われた(その後クリスマス休暇前のポジション調整で売られたが)。

但し、総じてモノの価格は下がったものの最も頑固とされるサービス業の賃金は依然上昇中だ。それゆえFRBも素直には歓迎できない面もある。

しかも紅海-スエズ運河ルートがイラン系フーシ派の襲撃の標的になっているので、大手船舶会社は喜望峰経由に切り替えている。その分4~6週間は物流が遅延するので、新たなインフレ要因となりかねない。この事例に見られるように供給サイドのインフレはいつどこで再燃するか分からないので、FRBとしても悩ましい。利下げ開始直後に大きな地政学リスクが勃発して、利下げ中止から利上げ再開に追い込まれるのがFRBにとって最悪のシナリオだ。

更にPCEインフレ率発表後にミシガン大学消費者信頼感指数や耐久財消費などの重要統計も発表され、こちらは事前予測を上回った。そうなると利上げにも関わらず米国経済は底堅いという「軟着陸論」が勢いを得る。その結果利下げ幅も大きくなるとの予測のもと24年は3、4、5月の3か月連続で利下げ、且つ年6~7回の利下げ回数と市場の先走り傾向は強まるばかり。これは金にとって追い風だが筆者は「そう都合よく行くかな?」と懐疑的だ。年3回程度の利下げがあれば金は十分に上がる。

なお、これは株式市場の話だが、利下げであまりはしゃぎすぎると資産効果で個人消費が過熱して、利上げで冷やさざるを得なくなる。だから株式市場も「利下げ祭り」のユーフォリア(陶酔感)はほどほどにしておいた方がいいよ。

最後にFRBにとってこれも悩ましいシナリオなのだが、利下げ開始してからこれまでの利上げの引き締め効果が顕在化するケース。金融政策は効果が出るまで1年半はかかると言われるので要注意だ。まぁ金にとっては不況になれば安全資産として買われやすいわけだが。

さてさてクリスマスも終わり本格的スキーシーズンと意気込んだが、シーズンロッカーを手配済みのガーラ湯沢スキー場は暖冬で雪不足。正月も本格降雪の見込み立たず。ゲレンデ全体の1/4程度しかオープンしていなくて、しかもところどころ地肌むき出しで危ないよ。「しょうがない!この冬はゴルフに切り替えか」と思うこの頃である~~。冬に沖縄までゴルフに行く必要がない。それにしても年末年始関東地方は13〜14度とはねぇ。。。温暖化でこれがニューノーマル(新常態)になるのか。スキーは北海道まで行かねばならぬか。因みに北海道では、かたや道民割で地元のスキーヤーの負担を減らし、一方でゲレンデ一部貸し切りで200万円とかのパッケージを主としてインバウンド向けに売り出し、既に売り切れ続発だとか。いわゆるオーバーツーリズム問題のバランスを考えた末の成り行きだね。

2023年