豊島逸夫の手帖

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国際金価格、2000ドル台攻防へ

2023年4月20日

昨日は日本時間夕刻、欧州市場が開いてくる時間帯に国際金価格が2000ドル近傍から1970ドル近傍まで一気に下げた。理由はイギリスのインフレ率が再び10%台にぶり返したこと。このインフレのぶり返しはパウエルFRB議長も常々最も恐れていることだと語っている。利上げを止めるとインフレがぶり返すリスクがあるので、FRBとしては5%超まで利上げして、更に5%台を当面維持する姿勢なのだ。とにかくFRBのミッションとしてインフレを根絶やしにせねばならない。このような背景があるので、イギリスでインフレがぶり返したことを市場も深刻に受け止めたのだ。結局FRBの計画どおり、年内もう一回利上げして5%超の金利水準が年内、場合によっては2024年にかけても続く可能性がある。これは金利を生まない金には逆風となる。

折からセントルイス地区連銀ブラード総裁は「政策金利を5.75%!まで引き上げるべし」と発言していた。毎度お騒がせのブラード氏。ただ彼の言うことが結局そのとおりになってここまで来ているので、5.75%を極論と言い捨てることもできないわけだ。

市場の金利予測を示すFEDウォッチを見ても市場は年内利下げ2~3回を見込み、FRBの予測と真っ向から対立してきたが、ここにきて年内利下げは無しの確率が3割近くに増えてきた。

かくして国際金価格は欧州時間に1970ドルまで下げたわけだが、この水準でも歴史的高値圏には変わりない。更にNY時間に入ると1990ドル近傍まで戻した(KITCOグラフ赤線参照)。下がったところはすかさず買いが入る。結果的には今の金相場の底堅さを示す成り行きとなった。

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金高騰の要因である金融不安もまだまだ「ライブ」の材料だ。昨日はゴールドマン・サックスなど米大手金融機関の決算発表があったが、銀行危機で株債券部門の収益がかなり減り、厳しい決算になっている。

なお、先日本欄で説明したAT1債だが、三井住友フィナンシャルグループが1400億円新規発行することになった。クレディ・スイスは買収され消えたが、同グループは破綻しないと市場は読んでいるようだ。

さて、今日の写真はゴルフ場のバンカーの荒れた表面をならす作業に従事している筆者(笑)。最近のゴルフブームではバンカーならしもしないプレーヤーが少なくない。マナーはしっかり守りましょう!

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2023年