豊島逸夫の手帖

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中国不動産バブル破綻とリーマンショックは異なる

2023年8月22日

中国不動産大手恒大集団が米国で破産申請したとされ、連鎖破綻を誘発する懸念があり、リーマン級と騒がれている。しかしリーマンショックとは異なる。

リーマンショックは米国の低所得者層向け住宅ローンを束ねて、高金利の投資商品に仕立て上げ、米国大手金融機関が世界中にバラ撒いた。その住宅ローンに支払い不能が続出し、結果的に世界中の投資家が大損して、一気に金融危機が世界に波及した。

対して恒大問題に発する中国不動産危機はあくまで中国国内の問題だ。一部ドル建て債務が海外の債権者に直接リスクを抱えさせる。

中国において不動産の影響は極めて強い。
まずGDPの25%が不動産だ。
次に個人資産の70%が不動産だ。
そして銀行が預かる担保の40%が不動産だ。
ゆえに不動産価格急落が中国経済減速、個人消費減退、銀行の不良資産急増に及ぶ。

因みに中国は地方政府も巨額の借金を抱える。その隠れ債務は1100兆円とされる。中国は土地の個人所有が認められず、地方政府が土地を融資平台と呼ばれる投資会社に貸して、リース料を徴収することで大型投資案件の資金を賄ってきた。融資平台はテーマパークなどのディベロッパーに融資してきたが、末端で破綻が相次ぐと結局地方政府が巨額の借金を背負うことになる構図だ。

かくして、恒大問題から連鎖する中国不動産危機と融資平台の債務不履行が同時進行することで、IMFも中国の債務問題を由々しき事態と見ている。

但し、この問題を放置すれば現政権を揺らすことになるので、習近平氏も慎重に隠れ救済をせねばなるまい。結局実質終身国家主席は次の代に債務問題を先送りすることになろう。

それゆえ今回の中国不動産危機は年内とか来年にリーマン級にはならない。しかし大地震予測と同じく、今後10年から15年の間に勃発する可能性が極めて強いが、その時期を特定することはできない。借金は消えないのだ。

個人投資家が煽られ大騒ぎする必要はない。しかし備えを講じておくことは重要だ。将来中国経済が大きく揺れることで日本経済が大津波に襲われることは覚悟せねばなるまい。

さて、今日の写真はレモンパイとアップルパイを食べながら原稿を書いていたら、いつのまにか空は綺麗な夕焼けになっていた。遠景にニシン御殿がある小樽の半島が見えた。酷暑の東京に居ると頭の中がロシア産ウニ状態になる(笑)が、札幌に居ると頭がキレキレだよ。労働効率が全く異なる。ただ今週は日本海側の札幌も33度予報。しかし新千歳空港より太平洋側の例えば苫小牧は27度。因みに千歳市は半導体のラピダス進出バブルに沸いている。投資額が総額5兆円で北海道の年間予算を上回る。既に千歳市では土地の価格が4倍になったとか、宿泊施設が足りず宿泊料も4倍に跳ね上がるとかバブルの様相だ。半導体は価格も含め変化の激しい業界ゆえホスト側も振り回されている感じ。結局肝心のテクノロジーは台湾や韓国が握り日本は下請けの立場だと感じる。
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2023年