豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. 日本軍全滅のガダルカナル、今や米中対立の防衛線に
Page3718

日本軍全滅のガダルカナル、今や米中対立の防衛線に

2023年5月15日

ソロモン諸島ガダルカナル島と言っても若い読者衆はピンと来ないだろうが、第二次世界大戦の命運を分けた戦場で多数の餓死者を出すなどの日本軍悲劇の歴史がある。そのガダルカナル島を含めパプアニューギニアから南東に広がる「島しょ」が、今や米中対立の最前線となっているのだ。
中国はその島しょ地域の小国を相次ぎ援助などで抱き込む戦略を露わにしている。南沙諸島同様、早々に軍事基地化して既成事実とする目論見が透ける。対して米国バイデン大統領も座視していない。G7で来日の翌週にはパプアニューギニアを訪問して、防衛協力協定に署名・発効の予定である。

筆者が関心を持つのは資源の利権も絡む話だからだ。
金、銀、銅、ニッケル、ボーキサイト、鉄鉱石などの鉱物資源があるのだ。
ガダルカナル島には金鉱脈があり、そこの採掘を巡り長年揉めてきた歴史がある。
因みに環太平洋火山帯に位置するインドネシアの年間金生産量は117トンに達し、パプアニューギニアも40トンを生産する。
近隣のオーストラリアも315トンで中国、ロシアに次ぐ金生産国だ。金生産サイドでも注目されており、オーストラリアの金鉱山会社ニュークレスト社を米国金鉱山会社ニューモントが大型買収することも決定したばかりだ。もはや目ぼしい陸上金鉱脈は開発が進んだので、金鉱山会社としてサバイバルするならば、有力な埋蔵量を持つ同業他社を買収することが最も手っ取り早い手段となっている。要は既存資源のパイの食い合いだ。それほどに今後の金生産は頭打ちとも言える。筆者が自信を持って長期金価格見通しは強気を語れる最大の理由でもある!

中国が南太平洋の島しょ部に食指を動かすのも、国防だけではなく金を含めて資源獲得の思惑があるからだ。

2023年