豊島逸夫の手帖

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パウエル氏議会証言の顛末、逆イールドが加速

2023年6月22日

持ち時間5分で議員たちが入れ替わり立ち替わりFRB議長と質疑応答するのが恒例のパウエル氏議会証言。FRB議長が被告席の如き場所に座らされ3時間近くの長丁場となる。議員たちは選挙区を意識した演説に終始しがちなので、まともな質疑応答にはなり難い。今回も結局見出しを取ったのは「pretty good guess(かなり良い考え)」の一言であった。6月FOMC参加者の多くが追加利上げ2回説を唱えたことの評価を上記の表現で語った。敢えて予測「forecast」という単語を使わず、「当て推量」というニュアンスの「guess」という軽い表現を使って言い抜けたところがパウエル流市場との対話と言えようか。しかし市場は依然追加利上げ2回説を信じていない。引き締め過ぎでリセッションのリスク、更に銀行不安悪化リスクを考慮すれば、追加利上げ2回などできるはずもないと決め込んでいる。筆者が注目したのは不況の前兆とされる逆イールド幅が0.96%と1%の大台まで接近したことだ。5月FOMCでは利上げ打ち止め説が示唆され、逆イールドも0.38%まで縮小していたので僅か1か月で劇的な変化と言える。そもそも過去の逆イールドと言えば逆イールド圏と順イールド圏を数か月間行ったり来たりとか、せいぜい逆イールド幅が0.1%を超える程度の事例が多かった。それゆえ1%近くとは桁違いの逆イールドと言える。引き締め効果と銀行破綻リスクが共振ゆえの債券市場異変と言えよう。金価格は不透明感強く動かず。

話がFRBに絡むことゆえ当然日銀も話題になるはずだが一向に質問が出てこない。筆者が「植田総裁はサプライズもあると示唆しているが」と話を向けても、大胆な政策修正ができる経済環境ではないと決め込んでいる。筆者の元トレーダーとしての感覚ではサプライズ演出なら「今でしょ」ということになるのだが。

なお、21日にはアトランタ連銀ボスティック総裁がパウエル議長に異論を唱える如く「年内、利上げすべきではない」と発言して注目された。「利上げ効果が浸透するには6か月から24か月かかるので、私は点検結果を待つ心の準備がある」と語っている。FOMC内の亀裂が早くも露呈した。市場は今後のFRB高官発言にも注目せざるを得ない。

さて、今日の写真は淡路島の玉ねぎ。駅構内で淡路島マルシェやっていた。淡路島には行ったことないので機会あれば行くつもり。さすがに淡路島でゴールドセミナーはないね(笑)。

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2023年