豊島逸夫の手帖

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米CPI12か月鈍化で金急騰

2023年7月13日

注目の6月米国消費者物価指数(CPI)が発表された。年率で3%。これは原油価格下落の影響で低めの数字になった。重要なのは原油や食料品など、変動の大きな項目を除いたコアCPI。これは4.8%。原油を除けばまだ物価は高止まりの印象だ。

因みにFRBもコアの方を重視しているので、物価高止まりとなれば年内追加利上げ2回以上の可能性が高まり、金は下がるはず。
しかし、市場はヘッドラインと呼ばれる原油込みの3%という数字に注目した。こちらは12か月連続で鈍化傾向を示す。インフレ鎮静化が徐々に進行しているのであれば、追加利上げの必要もないであろうという解釈で、金利の付かない金が買われた。インフレヘッジとしての金買いが減少するのではとの素朴な疑問もあるが、インフレヘッジ買いは中期的に静かに進行するので、日々の価格変動要因にはならない。但しジワリとボディーブローの如く効いて、金価格の下支えになっていることは間違いない。

更に、追加利上げの回数が減ると債券市場でドル金利が下落して外為市場ではドル安になる。これはドルの代替通貨とされる金には強い買い材料である。

その結果、KITCOグラフ緑線が示すように1960ドル台まで急騰した次第。最近は日々の価格変動で20ドル程度は普通になった。分母が2000ドル近くになっているので、1%程度の価格変動ということだね。

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ここまでが一般的な解説。
実はここからが本番。
昨日ミネアポリス連銀カシュカリ総裁がエッセイの形で今回のCPI鈍化について意見を記した。FRB側の人ゆえコアCPIしか見ないほど、4.8%の方を重視している。
「4.8%とは目標の2%から倍以上で、まだ目標達成にはほど遠い。追加利上げは必要であろう。」
こうなると金には下げ材料と化す。

総じて市場はヘッドラインの3%を重視して、12か月連続鈍化でインフレ鎮静化を囃す。対してFRBはまだ鎮静化とは言えず、引き締めは続ける。

市場とFRBと全く見解が異なる。どちらが正しいのか。
筆者はFRBのトラウマを重視している。FRBの歴史を紐解くとインフレ指標が鈍化して、安心して引き締めを解除したところ、インフレがぶり返し、慌てて引き締め再開に追い込まれるという醜態を演じた有名な事例があるのだ。

それゆえパウエル議長も「インフレを根絶やしにするまで利上げは続ける」と強硬論を述べているのだ。カシュカリ発言もその線に沿ったものと考えられる。
それゆえ1960ドルは固まったとはまだ言い難い。

本日は生産者物価指数(PPI)の発表もある。
結局は7月下旬のFOMC待ちということになろう。

さて、本日の写真は地方のゴルフ仲間からどっさり袋に入れて送られてきた自家産ブルーベリー。庭で大豊作だって。あまりの量にご近所にもお裾分け。都会では貴重品だよね。目とか健康にも良いし。私はヨーグルトにたっぷりブルーベリーをのせて、更にその上にチューブのケーキ用生クリームもかけていただく(笑)。 ごはん茶碗で大盛りの醍醐味!たまらん!

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それから我が家の梅を干した。これをどうする気か分からん!

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そしてアメリカから直送のサクランボ。例年より小ぶり。これはセブンイレブンのチーズタルトにのせて食べてみよう。

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というわけで我が家はフルーツまみれだよ~。

2023年