豊島逸夫の手帖

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国際金価格、ヘッジファンド決算期で、じり安

2023年11月9日

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先週の雇用統計以降、ドル建て金価格がじり安気味だ。
理由は11月15日までに多くのヘッジファンドが決算期を迎えるので、買いポジションが売り手仕舞われているからだ。中東リスクに乗って、あわよくば一儲けを狙って金を買っていたファンドが決算期対策のウインドードレッシング(決算を良く見せようとすること)に走っている。

なぜ11月15日かというと、SEC(米国証券取引委員会)に情報開示しているファンドが四半期ごとに13Fと呼ばれるフォーム(書式)で、四半期末時点での保有銘柄を公表しなければならないからだ。3月末は5月15日、6月末は8月15日、9月末は11月15日、12月末は翌年2月15日にそれぞれ情報開示が義務付けられている。金の場合はETFで保有すると有価証券となるので報告せねばならない。現物を自社で保管する分にはSECの管轄外なので公表義務はない〔先物だと監督官庁はSECではなくCFTC(米国商品先物取引委員会)となる〕。
四半期末から45日経た日に開示されるので45日ルールとも呼ばれる。中でも11月15日は年末に近いので、顧客である投資家たちに運用状況を説明するファンドが多い。

いずれにせよ長期的な見切り売りではない。ひとまず売り手仕舞い、来年に再び買い直すこともある。
現物で1940ドル台という価格水準も2000ドルを意識すると「壁」に見えるが歴史的高値圏である。いつも言うことだが一喜一憂することはない。

2023年