豊島逸夫の手帖

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バフェット氏は金を買うか

2023年4月11日

投資の神様バフェット氏が日本の5大商社株をこれまで買い増してきたが、最終的に同氏保有が9.9%に達するまで更に買う意欲を語った。商社以外でも日本株を物色しているとのこと。日本株の市場は大騒ぎである。バフェット氏は買ったら数十年持ち続ける覚悟ゆえ真の長期投資家と言える。

ではバフェット氏が「金」を買うことはあるのだろうか。
答えはNO。彼は「投資とは何かを生み出すもの」との強い信念があり、金は保有しても配当も何も生まないので手を出さない。

同氏はこう語っている。「アフリカか何処かの地中から金が掘り出される。そして、それを溶かして、また穴を掘って、また埋めて、それを守るために人を雇っている。それは何の役にも立たない。火星から見ている人は誰でも頭を掻くであろう。」

但し、例外的にコロナ禍で産金会社バリック・ゴールドの金鉱株を買ったことはある。あの時はいよいよバフェット氏も金投資を始めたのかと話題になったものだ。

彼の考えに賛同する人たちは多い。筆者もかねてから「金は何も生まない。投資とはおカネに働いてもらってなんぼの世界。だから金投資という言葉は使わないようにしている。」と語ってきた。結局金は投資と言うより保険に近いと理解すべきだ。事実保険会社の人たちの中では金の保有者が目立つ。保険会社の運用資産の中に「金」が含まれることは珍しくない。

将来のリスクに備える。これが金保有の真の目的と言えよう。
だからこそ筆者は長期の純金積立を勧め、自らも実践しているわけだ。おかげさまで国内金価格は連日過去最高値を更新。しかし私は長期保有派なので売ることなど一切考えていない。

金を保有して役立たないのが実は一番望ましいことなのだ。しかし近年は役立ってしまうことが多い。金が役立たなくなる日は来るのか。世界が核兵器も廃棄して平和になることを本当に信じられる人になら、私は敢えて金保有は勧めない。

2023年