豊島逸夫の手帖

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米国債務上限問題、金市場の反応はどうなるか

2023年5月16日

現在の2000ドルを超える国際金価格の歴史的高値圏を支える要因のひとつが米国財政不安にあることは間違いない。とは言え早晩政治的妥協で決着することも間違いない。本当に債務不履行になれば世界経済がパニックになるから、その寸前まで行って辛くも最悪の事態は回避されよう。公務員給与が遅配になり、廃棄物処理が滞り、街中がゴミだらけになり、世論が怒りの声を強めるところで政治家が動く。その数日間はマーケットも大荒れとなろうが売買高は少ないだろう。国際金価格も急騰後急落。市場の関心は米国金融政策のインフレ抑制策と銀行危機が誘発する不況の程度に移ることになろう。従って財政不安後退で投機筋が金売りに回っても底は浅い。歴史的高値圏に留まる。
既に資産運用で金を購入した人の中には金価格高騰でポートフォリオにおける金の割合が半分近くまで膨れたという事例も珍しくない。その場合はポートフォリオのリバランスが必要になる。贅沢な悩みだが投資の基本はリスクとリターンのバランスを考えること。金は他の資産との相関が独立しているのでリスク分散効果が見込めるという発想が大事。リスク回避ではなくリスク分散だよ。その意味で金の割合が極端に大きくなることはリスク分散効果を薄めるので望ましいとは言えない。とは言え今どき金を売って何を買えばいいの?と聞かれると筆者も正直答えに窮する。バフェットさんは短期米国債を満期まで持ち続けて3か月ごとにポートフォリオを見直している。それで年率5%も貰えるなら悪くない。日本人は為替リスクがあるが円高リスクも今や大したことにはならない。日本株は日経平均が3万円に接近している。米国投機筋が債務不履行に揺れる米国よりマシとの判断で日本株先物に買いを入れている。バフェット日本商社株買いに刺激された面もある。とは言え投機筋の買いなので早晩売りに回ることになろう。これこそまさに日本株に雨宿り(回避)でマネーの引っ越しではない。ご用心。日本の商社もバフェットさんのおメガネに適って誇らしいが、資源高と円安に助けられているので少々照れるところもあるかな(笑)。

さて、筆者のパソコンが壊れてメールは見れず送れず。いやはや参った。メールを送信した人は無視されたと思うだろうし困った。とにかく新機材に買い替えるがメールアドレスは変えざるを得ない状況。取りあえずタブレットと携帯でやり繰りしている。

2023年