豊島逸夫の手帖

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中国・ロシア中銀の金買い、ほくそ笑む米国

2023年7月25日

中央銀行の金買いが今や重要な金価格上昇要因になっていることは本欄読者ならご存じのとおり。
但し、今年はトルコの金大量売却などで昨年を下回りそうとも書いた。

もうひとつの視点についても書いておきたい。
それは国別に外貨準備としての公的金保有量を見ると、米国がダントツの8000トン台。次いでドイツ・フランス・イタリアが2000~3000トン台で続く。その後に中国・ロシアが2000トン台。
それゆえ中ロが反米・反ドルで金を買えば買うほど金価格が上がり、それで最も儲かるのは欧米の西側諸国なのだ。

筆者は中国の公的金保有量がいずれ5000トンに達すると見ていることも書いてきた。それでも8000トンの米国には及ばない。

そもそも米国もずるいと思う。
ブレトンウッズ体制が崩壊した後、金「廃貨」説を最も強く唱えたのは米国であった。金はもはやマネーではない。これからは米ドルの時代だと説いた。確かに世界の決済システムは今や米ドルなしでは機能しない。
それでも米国は一国としてがっちり世界最大量の金を保有している。自国通貨の信認が揺らいでもラストリゾートとしての金がNY連銀やフォートノックスの地下金庫にある。

対照的なのが我が日本。
公的金保有は1000トンにも及ばない。外貨準備保有量は中国に次ぎ世界第二位だが、その殆どは米国の借金証文である米国債だ。
安全保障の代償として米国への配慮という話を財務省幹部から聞いたことがある。
債務上限問題の時、米国債が本当に債務不履行になっていたら最も損する国は日本。米国債国別保有量(米国除く)では日本がトップ。二位が中国なのだ。
考えさせられる問題である。

筆者の記憶に残るのは1997年6月23日、当時の橋本首相が米コロンビア大学での講演後の質疑応答で「米国債を売りたい衝動に駆られることがある」とジョークのつもりで語ったことだ。真に受けたNY市場ではダウ192ドル急落(当時としては大幅な下落)。1985年のプラザ合意以降の急激な円高ドル安(260円から85円!)が進む中での発言であったが、「もし売るようなことがあれば米国への宣戦布告と見做す」と言われたものだ。米国は日本の対米貿易黒字に苛立ち、円高誘導カードをちらつかせていた。結局日本は米国債保有を増やし続け、遂に世界最大の米国債保有国(米国除く)という有り難くないトップの座に君臨する羽目になったわけだ。

さて、札幌サテライトオフィスの状況報告。と言っても例によって旨いものの話だけどね(笑)。
札幌駅北口近くのルンゴカーニバル。羊蹄山の麓、真狩村の金丸農園でのびのび育った野菜などが供される。

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看板に偽りなし。とにかく蒸した野菜の数々が野菜本来の甘さで旨い!ポテトフライも3種類のジャガイモの味がそれぞれ異なり、これが本当のジャガイモかと感じ入る。東京のレストランで供されるポテトフライとは別物だよ。熱の通し方も良い。

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そしてホエイ豚。チーズ工房でナチュラルチーズを製造する過程で毎日出るホエイ(乳清)をたっぷり飲ませて育てた豚。だからこれがポーク?と誰でも思う美味しさだよ。これで1300円だったかな。

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安さと言えば有名な厚岸産のカキが一個100円だよ。さすがに今年は例えば10個1000円頼むと5個は三陸産になった。この三陸産も厚岸産と比べて食すると、それはかなわないけど東京なら一級品。比べると味の違いが分かるのも興味深い。

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締めは私だけ誘惑に耐え切れずライチのシャーベット。

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天井高くて大きな店だけど土日ともなれば完全満席。ただこれは札幌の店にありがちなのだけど喫煙可なのだよね。だからいつでも出口近くに陣取り長居は避ける。地方に出るたびにいつも思うことだが喫煙に関する感覚が原則禁煙の東京と違うね。喫煙可の店には絶対入らない私だがこの店だけは例外だよ。
札幌サテライトオフィスで書くと本文より食い物編の方が長くなりがち(笑)。まだまだ続くよ。札幌の旨いもの特集は。

2023年