豊島逸夫の手帖

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S&P、日本国債格付けに言及

2023年2月10日

日本国内では日銀次期総裁人事を巡り議論が沸騰しているが、海外市場の反応は冷ややかだ。筆者は事あるごとにウォール街の人たちにこの話題をぶつけているのだが、そもそも興味がないので答えようもないという事例が多い。YCC撤廃などで1%でも金利を引き上げれば、「異次元超緩和」に慣れ切った日本企業は激しく動揺するであろう。ましてやFRBの如く0.5%や0.75%刻みの利上げなどできるはずもない。外為市場で注目される日米金利差も日銀利上げによる円高効果は限定的との読みが目立つ。FRBは政策金利を5%台で更に0.25%から0.5%引き上げ、その高金利水準をデータ次第で2024年まで維持する姿勢だ。片や日銀はそもそも黒田総裁が「日本の場合は輸入インフレゆえ一過性」と断じている。今後の長期金利上昇幅もせいぜい0.5%程度ではないか。そのような議論が大勢である。短期金利に至ってはマイナス金利をどうするかという欧米感覚では「一昔前」の議論が日銀では「現存」している。

結局ヘッジファンドなど通貨投機筋にしてもドル売り円買いの動きは限定的だ。

その中で日本国債への視線は熱い。S&Pは日銀利上げが日本国債格付けに影響を及ぼす可能性を論じている。日本の公的債務が悪化する可能性に関しては既に現在の格付けに織り込まれているが、日本企業が利上げを吸収できるかという点に注目しているという。
今後他の格付け機関による日本国債の評価も日本国債売りの材料として使われる可能性もありそうだ。

さて、今日の写真は六本木虎屋の鶯餅と珍しい白汁粉(ぜんざい)。
ふと店内を見れば上品な「おばさま軍団」に囲まれ、スーツ・ネクタイの男二人が完璧に浮いていた()

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2023年