豊島逸夫の手帖

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ドル高なのに金高、都合の良い話ばかりではない

2023年831

連日「金1万円突破、連騰」の話題が一般メディアにまで載っているが、何せ金のことなどまるっきり知らない素人が書いた(或いは放送する)もので、私でさえ聞いたことがない業者が登場したりして実に危うい。一夜漬けの知識で金を語る著名エコノミストもいたりして、知見の薄いことが専門家にはバレバレ。その程度の人だったのかと、その人の他の論文まで疑ってしまう。

ドル高で金高の時期もあれば、いずれドル安で金安の時期もあるよ。従来の古い市況の法則が金市場に限らず、あちこちで崩れている今日この頃だ。

国際金価格の長期上昇トレンドがドル円相場でかく乱されることはこれからも起きる。全て都合の良い話ばかりではない。繰り返し言うが一喜一憂せず、地味に買い増してゆくことが肝要。

折角史上最高値になったのだから売って旅行とか人生を楽しむのは大いに結構。楽しんだ後でまた買い増しを始めればよい。その時はグラム11000円かも知れないし9000円かも知れない。

因みに貴金属店の店頭をウォッチしていると頻繁に聞かれる質問はキョロキョロ「今日は売りの人が多い?買いの人が多い」。

売るつもりで来たところ買いの人が多いと黙って帰る。売る人が多ければ即売却。日本人は特に右へならえの傾向が顕著だ。金を買う時も友人や同僚が買ったからという理由が日本人には目立つ。自分だけ出遅れるという可能性を最も恐れる。そこで結果的に損しても皆で桜と散る覚悟。

因みにNISAの話だけど添付のような「200万円が1億円」というフレーズも危ういよね。そもそも税金タダって儲かった場合の話で大損することだってあるわけで。大損して税金タダになるのは当たり前。損して税金まで課せられたら踏んだり蹴ったり。

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受験勉強の影響か諸々勉強すれば儲かると思い込んでいる人や専門家は儲ける術を知っているという幻想に囚われている人も。プロでも自分の資産運用は儲かる時もあれば損することもある。その厳しさを身をもってプロは知っているから自分の資産運用は地味な人が多いよ。お茶の間では「あなたプロなのにやっていることは地味ね」などと家族から突っつかれたりして(笑)。

筆者は世界中の投資家と話してきた経験があるけど日本人はリスク耐性が弱い。これは民族のDNA。今日買った株が翌日値下がりすると目の前が真っ白になる人が多い。ここに貯蓄から投資への政府スローガンの無理がある。まずは学校の先生のレベルでおカネの話をすることは卑しいことだ、危ういとの先入観を払拭することから始めるべき。

2023年