豊島逸夫の手帖

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原油急騰、11月のFOMCに影響あるか

2023年920

9月19、20日に開催されている9月FOMCの直前に原油価格が急騰した。市場は利上げ議論への影響を注視する。

しかし、FRBはあくまで原油や食料品など変動の激しい項目を除くコアインフレ指数を重視するスタンスだ。投機的売買で値動きが荒い原油価格は「ノイズ=雑音」と切り捨てる。

しかし、国民は原油高が家計を直撃するので無視できない。減速過程にあるとされるインフレの再燃を憂慮する。値上げラッシュで米GDPの約7割を占める個人消費も萎える。それゆえ市場内でも「コアインフレ率だけ見ていればよいのか」との議論も根強い。

金価格には上昇要因となることなので、金市場も注目している。

本日20日のNY時間に行われるFRB議長記者会見でも原油急騰に関する質問が飛ぶのは間違いなかろう。パウエル議長は従来どおり原油価格も含め、長期的トレンドが重要であることを繰り返すであろう。

但し、次回11月のFOMCまで原油高止まり或いは更なる急騰が続くようであれば、11月「ダメ押し追加利上げ」を巡る議論を左右する可能性がある。もしそうなると金には下げ要因となる。

さて、今晩9時からテレビ東京系でOAされる「60秒で学べるNews」で「金1グラム1万円で買っているのは誰だ?」というテーマがあり、筆者もビデオ出演となる。60秒で今回の金急騰劇を語るなど不可能だが、いろいろカメラの前で喋ったことがどのように編集されているかな。ゴルフ焼けで真っ黒な肌にメークさんがかなり厚めのメークをして、志村けんさんの「バカ殿」みたいになって登場。かなり笑える。

それから中国の不動産危機について筆者発言↓。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9330de33a03b5a286b3cc9460199619ed90c830c

それでは今夜FOMC声明文発表、FRB経済見通し発表。パウエル議長記者会見と続き徹夜になるので、これから仮眠zzzz。

なお、夕方になり為替市場に異変が生じたので以下に追記しておく。
タイトルは「円安、148円台乗せ、 植田新聞発言が裏目に」。

20日日本時間午後4時過ぎに円相場が148円台を一時的に突破した。
12時間後には9月FOMC声明文発表とパウエルFRB議長記者会見を控えるタイミングだ。
19日の米国市場では10年債の利回りが4.37%まで上昇して2007年以来15年ぶりの水準となった時点でドル高・円安のモメンタムが強まり、148円突破は時間の問題と見られていた。
日本時間午後4時は為替市場がアジア時間帯から欧州時間帯に移行する時なので取引が薄くなり投機筋には狙われやすい。9月FOMCでは利上げ見送りがほぼ確定しているが、11月FOMCでの追加利上げはデータ次第という状況で、ドル金利の更なる上昇を先取りする動きとも言える。原油急騰が同時進行してインフレ懸念を煽っている。
市場の注目は150円接近で大規模為替介入があるか。
世界的なドル高の潮流に日本金融当局だけが逆らうことができるか。結果的にモグラ叩きになりかねない地合いだ。
仮に介入で140円程度まで円高ドル安に振れても日米金利差拡大傾向は変わらず、円売りの波が再発しそうだ。

まだNY市場の視点では時間外だが、既にNY勢は臨戦態勢である。
日銀金融政策決定会合も控えるタイミングだが、日銀の金融政策選択肢は極めて限定的であると読み切っている。植田総裁の新聞インタビューでの「マイナス金利撤廃言及」も牽制発言のはずが、「追加利上げも視野のFRBと、来年にやっとマイナス金利解除の段階にある日銀」の立ち位置の差を市場に印象付ける結果になってしまった。
国際通貨投機筋も植田発言で円売り攻勢に自信を深め、為替介入も乗り切る目論見が透ける。
円売りの波には昨年より長期化の兆しが見える。

 

2023年