豊島逸夫の手帖

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金の潜在的売り圧力

2023年5月9日

連日国内金価格は最高値更新が続いているが、いつまでも上げが続くはずもない。上げが続けば単なるバブルになってしまう。
そこで冷静に金市場内の潜在的売り圧力について考えてみよう。

まず利益確定売り。これは理屈ではない。儲けを確定したい、絵に描いた餅だけでは不安だという人間の心理的要因で顕在化する。
現物をグラム3000円とか5000円とかで買った人は山と居る。人間の心理は欲張りだから今のように連日高値更新となるともっと高く売れるから暫く様子を見ようということになる。しかし上げが一服してくると心がモジモジ揺れ始める。更に何らかの理由である日に大きく下げたりするともっと売られる前に売っておこうと焦り始めるのだ。こうなると群集心理が働きどっと店頭に売りの顧客が殺到する。劇場のシンドロームと言われる現象だが、満席の劇場で誰かが「火事だ!」と叫ぶと皆が狭い非常用出口に殺到する現象に似ているからだ。結局頭打ち傾向の中で下げ始める時に顧客の売りが集中するのだ。

更に同じ時期に先物市場では短期売買で一儲けを狙っていた投機家たちが我先に大量の売り注文を出す。
結果的にここが相場の頭になるわけだ。
筆者は2100ドル程度で劇場のシンドローム現象が起きると予想している。

とは言え、それで今回の上昇相場が終了というわけではない。
こんなに上げ続ける方が異常でいずれ訂正されると言っているのだ。
下げても歴史的高値圏に変わりはない。
調整局面を経て上げの第二部に入る方が上昇トレンド形成には健全だと論じているのだ。

今日も最高値更新ということは今日本人で金を保有している人たちはざっくりだが皆儲かっているという状況に近い。
だからこそ梯子を外されるリスクを意識して心の準備はしておくことが重要だ。

当面住宅ローンとか介護費用とかおカネが必要なら金を売っておカネとして使えばよい。
おカネに余裕がある人は人生を楽しみつつ、金は売らずに見守れば良い。

さて、今日の写真は六本木の香妃園(こうひえん)。名物のふかひれ土鍋。筆者は姿煮より土鍋の方が旨いと思うね。特にここの土鍋は中国から弟子たちが見習いに来るほどのレベルだ。

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前菜も良い。特に砂肝は砂肝の概念が変わるよ。

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締めはここの看板商品である鶏煮込みうどん(そば)。銀座のクラブを引けたお姐さんたちが深夜に寄る定番の店。だから朝4時まで営業している。

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それから六本木を歩いていたら、「バーキン買うなら豊胸しろ」という宣伝看板が目に付き「バーキンて何だ?」と聞いたら「知らないの?」とビックリされたよ。高級ハンドバッグなんだね。看板はそれより豊胸におカネを使いましょうというPRだった(笑)。最近はプラチナのネックレスを買うよりもエステで鎖骨を磨きましょうという時代だ。

今の若い女性の多くは宝飾品で金とかプラチナとか素材にこだわらない傾向。それよりデザイン、ブランド、コーデという感じだ。
宝飾業界最大のライバルは同業他社ではなくエステ。敵は本能寺ならぬエステにあり(笑)!

2023年