豊島逸夫の手帖

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NY金、急騰後、急落、円高進行

2023年3月27日

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24日金曜日、ドイツ銀行のCDS料率が急騰する中で株価が急落した時には、大西洋を挟んだNY市場にも戦慄に近い雰囲気が支配した。NY金は瞬間的に2000ドルを突破。ドイツ金融当局はドイツ銀行について我々が知らない何かを把握しているのか。これまでインベストメントバンキング部門の迷走により、デリバティブ運用で躓いたという前歴があるので疑心暗鬼は募った。実質的にドイツの国策銀行の如き歴史を辿ってきたので、24日にはショルツ首相が間髪入れず火消し発言を出した。金曜日でもあり世界的金融不安に乗じて暴れている投機的ファンド勢もドイツ銀行株売りポジションを早々と手仕舞った。ドイツ銀行株反落とともに金曜日の手仕舞い売りでNY金も1970ドル台まで急落。しかし二大銀行が金融市場を支配したスイスとは異なり、突出したドイツ銀行をコメルツ銀行が買収することなど無理筋だ。最終的には国有化しか方策はない。

破綻の連鎖は起きずとも金融不安はスイスからドイツに伝染した。
経済大国のドイツ人に常に上から目線で見られていると感じているスイス人銀行マンの反応も複雑だ。そもそも強い訛りのあるスイスのドイツ語ではなく、正統派の「ハイ・ジャーマン」を話すスイス銀行勤務のドイツ人行員は窓際族にされがちである。ドイツ銀行が揺れれば、人の不幸は密の味の如くのニュアンスがスイス銀行出身の筆者の後輩たちからも伝わってくる。対してドイツ側はクレディ・スイス発行AT1債の全損処理を「金融秩序を無視した暴挙」と激しく罵る。スイスにとって「クレディ・スイス問題は国益が係る大問題」ゆえ無謀と言われようがお構いなしだ。

本来リーマンショックの教訓としての銀行規制強化が産んだAT1債が金融システミックショックのリスクを孕む商品と化してしまった。

一方、NY市場ではAT1債の影響は相対的に軽微だが、FRBと財務省に対する不信感が強まっている。三大ネットワークのCBSによる調査ではFRBを信頼するとの回答が僅か15%となった。25日には同局の日曜討論番組「フェイス・ザ・ネイション」にはミネアポリス連銀カシュカリ総裁が生出演。地区連銀総裁クラスが日曜の看板番組に呼ばれることは異例だ。「現在の米資本市場は概ね閉鎖状態にある」と語り、銀行規制強化が貸し渋りを誘発してリセッションの引き金になる可能性を憂慮した。

更にNY市場ではイエレン財務長官が珍しく悪者扱いされている。先週銀行預金保護について「全て保護されるわけではない」、「全額保護」、「追加的な施策もあり」などと発言がぶれたからだ。議会公聴会で多くの議員の質問に答える過程で言葉に詰まる場面もあり、その影響で株価も大きく振れた。先週を振り返るとFOMCよりイエレン発言のインパクトの方が市場では強く感じられたとの見解が少なくない。

パウエルFRB議長にしても物価の安定と市場の安定を同時に達成できる魔法の杖などは無いわけで、0.25%利上げに関する市場のモヤモヤ感は晴れない。

FRB金融政策への支持率が15%に留まる限り、銀行システムへの不信感は払拭できず、取り付け騒動の根は絶てない。更に庶民感情を煽るが如く、民主党急進左派のエリザベス・ウォーレン上院議員はサンフランシスコ連銀デイリー総裁を管轄下のSVB経営状態を見抜けなかったとして激しく非難している。対して預金全額保護はポピュリスト的政策との見解も根強い。
SVB銀行破綻から僅か2週間。市場の不透明感は増すばかりである。

金の歴史的高値圏は続く。短期的投機筋による短期的に乱高下はある。ここは中期的市場の底流との見極めが重要。
なお、ドル金利はFRB利下げ転換を視野に低下。その結果ドル安、円高。
しかし、円安の基調は変わらず。

さて、我が家の遅咲き桜の下で(雨だったから屋内で)花見の宴。

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専ら花より団子!                 
北海道は苫小牧の石垣水産に勤務する親戚に依頼して北寄貝、ほたて貝、イカなど、朝採り超新鮮な素材を宅配便で送ってもらった。

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参加したマガーリのシェフも「これは凄く良い素材」とお墨付き。北海道まで行かずとも東京で味わえるね。その他料理の達人の配偶者の家庭料理とシェフがキッチンで作ってくれたピザなどなど。さらに元祖道明寺などのスイーツも盛り沢山。ワイワイ、ガヤガヤで楽しかった。

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2023年