豊島逸夫の手帖

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中国コロナ再発、中国民間金需要に影響も

2023年5月30日

北京で病院が4時間待ちなどの報道が流れ、中国で新たなコロナ再発の波が発生している。つい2週間ほど前まではコロナからの再開期待に沸いていた中国経済の見通しも急速に悪化してきた。中国株価も下落。人民元も下落。

このような状況になると世界最大の中国金需要も揺れる。
今年はこれまで好調であったが、ここ数週間で俄かに暗雲に覆われてきた。

まず宝飾用需要は個人消費が萎えるので減少するであろう。対して投資用需要は経済先行き不透明ということで増加するであろう。特に不動産市場が中国経済のアキレス腱になっており、これまでバブル破綻を繰り返してきた。とは言え不動産は中国人にとって重要な資産でもあった。その結果資産として価値が揺れる不動産から金へのシフトも見逃せない。
因みに中国の民間金投資需要は金の延べ板も多いが、ダサいデザインながら金はタップリ使われているタイプの「金宝飾品」も買われる。これはinvestment jewelleryと呼ばれている。中国に特徴的なカテゴリーと言えよう。

なお、中国人が資産として人民元を信用せず金を選好する理由として、第二次大戦後勃発したハイパーインフレが挙げられる。写真は1949年に発行された額面60億元という途方もない額の紙幣だ。下の丸窓には一握りの米。60億元でこれだけしか米が買えなかった。この紙幣は上海の銀行博物館の入り口に展示されていた。
因みにドイツも1923年のハイパーインフレの記憶は未だに生々しく、欧州諸国の中では文化的金選好度が強い。
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2023年