豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. 米国小売り売上高、好調でNY金は続落
Page3665

米国小売り売上高、好調でNY金は続落

2023年2月16日

3665(KITCOチャート).jpg
1月の米国小売り売上高は米国消費者の消費意欲を映す統計として注目されている。それが前月比3%増でほぼ2年ぶりの大幅増加を記録した。しかも自動車、家具、レストランなどの幅広い分野で伸びている。
これは更にインフレを増長させる要因と今の市場では解釈されるので、ドル金利高、ドル相場高(ドル円、134円も)となり、金は更に売られ1830ドル台で推移している。
円安なので円建て金価格はそれほど下がっていない。

やはり1月雇用統計サプライズから市場の潮目が変わった。
利上げのターミナルレートも市場は5%未満、FRBは5%超と違いが目立っていたが、遂に市場の予測も5%を超え、FRBの予測をも上回るほどになった。年内利下げ観測期待も後退した。
FRBの利上げサイクルも最終局面とは言え5%程度の金利水準は年内維持され、利下げへの転換は来年にずれこみそうな情勢である。年後半になれば利下げへの転換が視野に入る段階になろう。この潮目の変化は基本的に米国経済がこれまでの市場の想定よりresilient(打たれ強い)からだ。

GDPの7割近くが個人消費ゆえ小売り売上高の増加は0.75%刻みの利上げを4回連続しても未だインフレ抑制効果が効いていないということになる。但し金融政策の効果発現には12~18か月程度のタイムラグがあるのでまだ断定はできない。

そして円安も一時は134円台を突破した。昨年の150円台の時のような大相場ではないが、じわりドル金利高が効いている。植田日銀については、まずはお手並み拝見というところだ。

ところで今日は東海道新幹線の大幅遅れに巻き込まれた。最近新幹線に乗車する時はペットボトルの水とおにぎり1個を必ず携帯する「自己防衛措置」を講じている(苦笑)。

2023年