豊島逸夫の手帖

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イースターの雇用統計、月曜にNY金最高値突破も

2023年47

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NY金価格はKITCOグラフ緑線の如く2000ドル台をキープしたまま今晩雇用統計発表を迎える。しかも今日はイースターフライデーで、日本を除く世界の殆どの市場は休場(既に緑線はフラットになっている)。NY市場も一部債券市場が開く程度で、金市場再開は来週月曜早朝という巡り合わせになった。GLOBEXという電子取引プラットフォームで、日本市場の時間帯に国際金価格が初めて雇用統計に反応するという異例の展開なのだ。

今週は発表された全ての経済統計が悪化したので、雇用統計も悪化が見込まれる。仮に新規雇用者数が10万人程度に急低下すれば、いよいよ利上げ停止観測が強まりドル金利は低下、ドル相場はドル安、そしてドル建て金価格は上昇という展開が現実味を帯びる。
それゆえ世界の金市場関係者が週明け日本時間での動きに注目することになる。

 これまでの史上最高値はNY先物市場ベースで2020年8月に付けた2089ドル。これは先物価格ベースゆえ現物スポット価格より割高の水準になっている。今回も未だ4月だが6月決済の金先物価格が指標として使われている。それゆえKITCOのスポット価格より割高の価格水準になる。
価格変動の激しいNY先物価格がNY市場から見ると時間外に電子取引プラットフォームで取引量も限定的な状況で決まるので、はっきり言って予見不能だ。
仮に日本時間で付いた価格でも、晩のNY時間に入りちゃぶ台返しされる可能性もある。

こんな時に敢えて金の短期売買で儲けようなどと考えても、それはギャンブルに過ぎない。積立感覚で長期投資しているなら高みの見物していればよい。
筆者も今回は野次馬気分。打ち上げ花火に「上がった!上がった!たまや~~。」と囃す江戸っ子のノリである(笑)。

円建てでは既に最高値更新が続く。要はこれまで買った金で儲かっている日本人が多いということ。悩みはいつ売るべきか。こればっかりは各人の所得水準とかライフステージによるので一概に答えられない。まぁ「売りたきゃ売れば」と突き放すね。プロでも最も難しいのは損切りより利益確定のタイミング。最高値で売り抜けるなんぞそう簡単にできるものではない。「ああ、あそこで売っておけば」或いは「ああ、あそこで売っちゃった」。必ず得べかりし利益を取り損なった感覚の悔いは残る。でもそれは贅沢な悩み。私は個人保有の金を今売ろうなどとは毛頭思わないけどね。

なお、雇用統計について大きな動きがあればYouTube豊島逸夫チャンネルで解説する。ライブの告知はツイッター@jefftoshimaで。

さて、今日の写真は東京ミッドタウン虎屋の道明寺製「笹衣」と葛切り。この葛切りはホンモノで、しかも黒蜜の甘さが体中に拡散するので病みつき。

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2023年