豊島逸夫の手帖

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今、誰が金を買っているのか

2023年1月17日

金を買った人たちにリサーチをかけて、何で金を買ったのか問うと「兄が、妹が、友人が、同僚が、お隣さんが、買ったから」という答えが目立つ。それまで金に全く興味が無かった人でも周りの人が買うと自分は出遅れているのではないかと焦るようだ。これは日本人に特有な現象。

「金なんて私の世界のことではない」と思い込んでいた人が、親しい人が「買ったよ」と言うと「えっ!!」、「やばい」と思うらしい。
金なんて怪しいと決め付けていたのに自分が信頼している人物の行動で瞬時に反応が変わる。

世代によっても金購買行動は異なる。
バブル世代は「夢をもう一度」の気持ちが強く、「金価格はどこまで上がるの?」と目をランランとさせて聞いてくる。「儲けるぞ!」というフェロモン全開だ。
対して氷河期世代は「自分が生まれてから何もいいことなかったし、これからもっと悪くなる」と覚悟している。だから金に関しても「下がるとすればどこまで?」と問うてくる。
業者が広告で「金の輝き、魅力」などと持ち上げると、「そんな広告に私は騙されない」とそっぽを向く。
対して「金のメリットもデメリットも教えます」とアプローチすると、それなら聞いてみようと動く。興味はあるのだ。

筆者の体験ではバブルおじさんたちが集まるセミナーに出向くと、館内はおやじ衆の「儲けたるで!!」とのフェロモンが加齢臭となり会場内にムンムン。
対して氷河期世代向けセミナーだと、「儲けたるで!」というフェロモンは皆無。「金って怪しいけど、いずれ役に立つかも。買う買わないは別として、取りあえず勉強しに来た」。それゆえ真面目に講師の話を聞いてまともに質問してくれるので、こちらも喋り甲斐があるというもの。その会場の様子を見物に来た友人が「お前のセミナーは予備校の授業みたい。会場にサラサラとメモする音だけが聞こえる」と。

さて、今日の写真は猫もソーシャルディスタンス(笑)。

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2023年