豊島逸夫の手帖

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国際金価格1970ドル台、2000ドル視野に  

2023年1020

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国際金価格が強い。
理由をまとめると
1)中東リスク。イスラエルのガザ地上侵攻の可能性が高まり、緊張感がNY市場のセンチメントを悪化させている。所謂リスクオフで金が買われる「質への逃避」が顕在化してきた。今回火付け役のイラン、そしてサウジアラビアも巻き込み中東が荒れると原油価格急騰が再燃して、その影響はウクライナを上回りかねない。米国、中国、ロシアもそれぞれ権益や存在感を守るため世界分断化を悪化させるからだ。

2)パウエル議長が昨晩の壇上対話で追加利上げに対する慎重な姿勢を見せ、追加利上げの可能性が遠のいた。11月利上げ見送りは確実。更に12、1月も利上げ見送りの可能性が6割に拡大した。発言の中で注目されたのは、市場で10年債利回りが5%の水準まで続騰したことで、FRBが利上げせずとも実質的に「利上げ効果」が出ているとの考えを追認したことだ。

3)更に、FRBが追加利上げせずとも現在の政策金利5.25~5.5%を来年後半も場合によっては維持する可能性も出てきた。金利が付かない金には逆風になることだが、問題は引き締め過ぎて米国経済が景気後退に陥る可能性も強まること。

4)更に、NY市場でのドル金利上昇の理由のひとつが米国債への信認低下、場合によっては米国債格下げの可能性にあること。米国債増発が必至だが、それを誰が買ってくれるのか。FRBが量的緩和で買ってくれていたが、今や量的引き締め(QT)に転じ、米国債の売り手に回っている。しかももうひとつの米国債巨額保有者の日本と中国が最近の傾向として米国長期債保有を減らしている。買い手が不足する米国長期債は利回りを上げて買ってもらうしかない。これを専門用語でタームプレミアムという。総じて米国経済、米ドルへの信認が低下している。

5)政治的にも米国不信が根強い。米国議会が下院議長不在というドタバタを演じ、世論調査ではトランプ氏への支持率がバイデン氏を上回る事例も出てきた。またまた政府機関閉鎖の可能性が語られている。

以上、複合的要因が連日日替わりメニューの如く効いている。
2000ドルが「壁」だが、これを乗り切ると史上最高値更新も視野に入る。

円建て金価格はドル円が149円で膠着しているので、国際金価格上昇がそのまま反映される展開である。

というわけで筆者も御用繁多ゆえ、遊ぶ時間もなく「渋々」働いている次第。外は爽やかな秋の日でゴルフ日和なのに(笑)。睡眠不足で機嫌はすこぶる悪いよ~。

2023年