豊島逸夫の手帖

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ジャクソンホール会議直前の円安、昨年とは異なる点に注意

2023年8月21日

8月24日から26日にかけて、米国避暑地ジャクソンホールに主要国中央銀行首脳が集い、恒例のシンポジウムが開催される。カジュアルな服装で率直に意見を交わす場なので例年市場の関心は高い。

昨年はパウエル議長が「利上げ強化方針」を壇上で一方的に8分間まくしたて、質疑応答も受けずにカクテルパーティーの場へ移動した。NY市場が「パウエルショック」で大混乱した記憶が鮮明に残る。
今年はパウエル議長が「利上げ継続方針」を語るのか。植田日銀総裁が出席するとなれば何を語るのか。
時あたかも7月FOMC議事録でインフレ警戒は緩めず、利上げ継続の可能性が議論されていたことが明らかになった。米10年債利回りは「壁」と言われた4%の大台を突破している。とは言えFOMC内のタカ派・ハト派の対立傾向も顕在化している。
市場の関心は追加利上げがあろうとも利上げは最終局面に達したので、5.25~5.50%のレンジまで切り上がった政策金利水準がいつまで続くかとの議論に移っている。年内継続は想定内で来年まで持ち越す可能性が強まっている。

更に、その次のステップとして利下げへの転換の時期が最も重要だ。
ゴールドマン・サックスが2024年4-6月期にピボット(利下げへの転換)予測を発表して話題になっている。早くて同1-3月期。24年後半にずれこむとの見解も根強い。労働市場でサービス業の賃金が下がり難く最も頑固なインフレ要因であることをパウエル議長も認めているので関連データ次第ということになろう。
FEDウォッチを見ても年内は「利上げ確率」が例えば11月FOMCで38%などと記されているが、年を越すと「利下げ確率」にシフトして、1月の「利下げ確率」は21%、3月は44%などと記されている(FEDウォッチの数字は毎日、日中でも変動する)。
5月FOMCの段階では0.25%幅の利下げ1回の確率が37%。2回の確率が26%。3回の確率は7%となっている。

かくして、利下げへのピボットを先取りして動く市場とデータ次第で会合ごとに決めるというFRBのスタンスの対比が鮮明だ。
なお、ジャクソンホールでの植田発言に関しては相対的に関心は薄い。政策修正と言ってもYCCをtweak(微調整)する程度とNY市場では決めつけられているからだ。FRB側が5.25~5.50%の現行政策金利水準をホールド(維持)する限り円売り攻勢は変わらない。為替介入があってもモグラ叩きになる可能性がある。為替介入という強硬策に依存するということは日銀の政策修正余地の限界を自ら認める結果になりかねないからだ。為替介入は「傷口に絆創膏を貼って、取りあえず止血するようなもの」というわけだ。
その意味では昨年と金融政策環境が大きく変化していることが重要だ。
FRBは動き、日銀は動かず、或いは動けず。
そこまで読んで国際通貨投機筋は円売りの波状攻撃をかけている。
なお、2024年中にFRBのピボットが確実視される段階で、国際通貨投機筋も円売りから円買い攻勢へ一転「ピボット」するであろう。

さて、北海道の採りたて超新鮮野菜にはまり、厚真の農家に通っているよ。
現地で自ら採って、その場の畑で食する醍醐味。トウモロコシも生でがぶりつく。甘い!!

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ジャンボ・キュウリもシャキシャキの歯ごたえ感が違う。トマトは味がとにかく濃い。

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一軒の農家の畑が野球場ほどの面積があるが、農耕機材を使い、お父さんがやっている。
家庭的昼食でも野菜がメインで肉は付け合わせ。
厚真近郊には競走馬の生産、育成、調教で有名なノーザンファームもあり、全国から馬主団が訪問に来るとか。昨日は札幌記念があり、筆者も札幌サテライトオフィスの33階から札幌競馬場を見物していた。
なお、厚真は新千歳空港から30分ほど。冬季にはホワイトアウトの世界でジャンボ級の大型除雪機に乗り込み、適格に滑走路を探し当て航空機材などに接触せず早朝一便に間に合わせるという滑走路の除雪作業30年の超ベテラン氏による「神業」の極意に聞き入ってしまった。
そういえば週末にらいでんスイカとサザエのたい焼き持って歩いていたら、20年間ブログを読んでいるというファンに呼び止められびっくりした。しげしげ私の姿を見つめて「ブログに書いてあるとおりの生活ですね」(笑)。

2023年