豊島逸夫の手帖

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24年金相場の焦点、「もしトラ」リスクの全容

2023年12月25日

24年米大統領選の共和党候補はトランプ氏が支持率64%で、2位のデサンティス・フロリダ州知事12%を大きく引き離し、圧倒的リード。「もしもトランプ」というより「もはやトランプ当確」の如し。

トランプ氏の公約を見ると、まさに現在の米国政策のちゃぶ台返しだ。

まず関税を全ての外国製品に10%課す。関税報復合戦→新たなインフレ要因となろう。因みに現在米国の平均関税は3%である。

移民に関してはイスラム教徒の多い国からの入国禁止のため移民に「思想審査」を課す。

次に中国依存からの脱却。中国との最恵国待遇を廃止する。これは二国間で「お互い様」の貿易のルールをやめること。

更に温暖化政策を大幅に削減。化石燃料への投資を増やし、石油や天然ガスの大幅増産。ガソリン価格を抑えるという選挙公約だ。同時にEVの移行に向けた制度を撤廃する。
トランプ氏は「大統領に返り咲けば、就任初日に国境を閉鎖して、石油を採掘するための大統領令を出す」と表明している。地球温暖化対策の「パリ協定」からの脱退も含む。

そして自らを起訴した司法当局への報復。米政府機関の職員を解雇し易くする案「スケジュールF」。要は公務員に人事権を行使できる裁量を広げる。特にFBIや検察に対する報復が透ける。

なお、ウクライナ侵攻を終結させ、ロシアとの対立は解消方向。日本は場合によっては同盟国との関係悪化の波の影響を受ける。

とまぁ「もしトラ」リスクは広範囲にわたり、金市場は不透明感から「もしトラ」リスクに反応するであろう。

2023年