2015年9月24日
VW社が米国で不正な方法を使い、排ガス規制をクリアしていた、というショッキングな報道が、連休中に世界で流れました。
「連休中に異変あればツイッタ―でつぶやく。」と連休前に書いたので、さっそく@jefftoshimaにも書きこみました。
この全く想定外のスキャンダルにより、プラチナ価格は920ドル台にまで急落しています。
プラチナはディーゼル車の排ガス清浄化触媒需要が、全体の4割を占めます。
そして、今回の不正は、米国で販売されているディーゼル車で起こりました。
もともとディーゼル車はPMなどの有害物質を多くまき散らすので、VW社は、クリーンディーゼルという改良型ディーゼル車を売り込んできました。
それが特に欧州・中国での人気が高まったのは、燃費の良さと相対的に安価だからでした。
米国では、ディーゼル規制が非常に厳しいので、VW社も苦戦していたので、販売を増やすために、こんな無理をしたのでしょう。それにしても、やり方が悪質です。排ガス基準クリアするための試験走行時だけに、有害物質排出が減るというソフトウエアを車の中に仕掛けていたのですから。その対象車は、世界の総数1100万台に登ります。
これによる消費者のディーゼル車離れも大規模に広がるでしょう。
市街地でのディーゼル車規制とか、ディーゼル車に対する課税強化など、さまざまな措置が視野に入ります。
影響は他社にも及び、風評被害をこうむるでしょう。
ディーゼル車販売台数が構造的に減ることが予想されます。
プラチナの消費量も、それにともなって、減ることになるでしょう。
プラチナ価格は1000ドル割ったところで、ようやく底打ち感が出てきた矢先の、ビッグ・サプライズ勃発。
これは痛い。
長期的には、生産調整などで、供給も減るでしょうが、当面は、下値模索となりそうです。
800ドル台も考えられます。
直ぐに価格が回復するような地合いではありません。短期的に空売りの買戻しによる短期的価格急騰はあるでしょう。
いま、現物でプラチナを保有している人は、あわてず、生産調整による長期的価格回復を待つのが良いでしょう。
短期的な売買でプラチナを保有している人には、「避難勧告」即ち、いったん売り手仕舞って、様子を見ることを薦めます。
突発的な事態ゆえ、まだまだ、紆余曲折はあるでしょう。
読めないことが多すぎます。
上記の対応は、危機管理の一手と考えてください。
リコールで排ガス基準対応車に追加的にプラチナが使われる可能性だってあります。欧州のドライバーのディーゼル車選好も根強いものがあります。欧州内では、国境をまたいで、高速で自動車による移動が普通なので、丈夫で燃費効率の良いディーゼル車が使われているわけですから。
問題の解決には2年以上かかると見ます。
その結果、ディーゼル車が致命的ダメージを受けるのか。まだ定かではありません。
なお、連休中の、中国・利上げ・欧州難民関連の展開については、@jefftoshimaに纏めて書きこんでいます。