豊島逸夫の手帖

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為替と株、欧米機関投資家最新動向調査

2015年4月15日

バンク・オブ・アメリカ・メリル・リンチ社のファンド・マネージャー調査(4月)が14日に発表され、ウオール街の話題になった。

世界の株・債券投資動向と日本株・円についての記述は以下の通り。

―世界の株式市場が過大評価とする回答者の割合が、2月8%、3月23%、4月25%と上昇傾向。しかし、1999年の42%には及ばず。

株価バブルを最大のテール・リスクと答えた人は13%と、2月の2%から増えている。

―地域別にみると、過大評価は米国株に集中(68%)。欧州・日本を含む他地域は過少評価とされている。運用配分で見ると、欧州株オーバーウエイトが46%。(3月は60%)。日本株も「お気に入り」で、オーバーウエイトが38%(3月は36%)。2006年以来4位の高さだ。更に、今後日本株オーバーウエイトを目指す投資家の割合が3月10%から4月22%に上昇した。

―いっぽう、債券市場が過大評価とする割合は、調査開始以来最高の84%に達した。

―外為市場については、米ドルが2月のネット12%が過少評価から4月はネット13%が過大評価と大きく転換した。(過大評価と過少評価の差=純ベースでみた数字)。

―ユーロは、2月にはネット24%が過大評価とされたが、4月は8%がネット過少評価に転じている。

―円は2月のネット12%過大評価から、4月はネット2%過少評価に転じた。(円は高すぎるから安すぎるに評価が移ったということ。)

―米利上げ時期については、過半数が、第三四半期(7~9月)前には利上げ無し。但し、85%が年内の利上げを見込む。

なお、この調査は、177名(運用総額4940億ドル)を対象に4月2日から9日にかけて実施された。

以上を総じてみると、筆者がNY機関投資家たちとの対話で感じ本欄に記してきたことと、ほぼ符号する。

世界の株式市場におけるマネー・フローは、高値警戒感の強まる米国から欧州・日本に流れている。かつ、欧州の割合は減り、日本が増えてきている。米国株→欧州株→日本株の流れだ。

欧州のマイナス国債利回りなど、債券市場にはバブル的な要素を感じている。

円についての見方は、昨年の円安一辺倒から、円高・円安に割れつつある。

この調査は、日経平均2万円タッチの直前に実施されていることが興味深い。現水準から日本株の運用配分を増やす意向の機関投資家の割合が3月に比し、倍増している。

海外マネーは2万円という心理的高値抵抗線をさほど意識せず、通過点程度に考えていることを、この調査は示しているのだ。

金は調査対象にはなっていないが、筆者のNYとの対話から得た感触では、「既に十分買われた株、十分売られた金」という見方が増えつつある。現在の金価格を長期的には割安と見ているわけだ。短期的には依然売られやすい環境なので決して急がないが、徐々に金の運用配分も増やす傾向を感じている。ゆっくりながら、金の出番が増えつつあるのは確か。私の仕事も全体の中で金関連の仕事が確実に増えてます。それが何よりの証拠でしょ。また来週以降順次掲載されるよ。円建て金価格ゆえ、当然、為替もセットの話になるけど。ただ、掲載される頃には、私はフランクフルト・アテネのテレビ現地ロケだけどね。

ところで、昨日紹介した副代表治部れんげの原稿は、私の読者たちにも新鮮だったみたいね。

20~30代の女性たちは勿論のこと、おじさんたちにも興味津々読まれているようです。治部のユニバースは人口の半分なので、経済関連原稿とは比べものにならない読者規模の大きさを感じます。ヤフーなどに即転載されて、アクセスがドッと増えますから。

2015年