豊島逸夫の手帖

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デフレ・米国債・原発を輸出する中国

2015年11月13日

中国は、商品市場を通じて、自国のデフレを世界にばら撒いている。

但し、通貨安競争を仕掛け近隣窮乏化政策により、貿易相手国の雇用を奪う手法は、もはや使えない。人民元安がマネー流出を誘発するからだ。既に、ダントツ世界一の中国外貨準備も、ピークの4兆ドル近くから3.5兆ドル台にまで減少した。しかも、人民元SDR入りを控え、通貨政策はお行儀良く振る舞わねばならぬ。

それに代わって顕在化しつつある現象が、商品市場経由のデフレ輸出だ。極端な事例では、国内余剰鉄鋼製品を、アジア各国に採算無視で輸出に走っている。一般的には、ストック過剰・設備投資減により国内素材需要が縮小して、原材料輸入も減少することで、国際商品市況が下落。生産国に失業をばら撒いている。中国発世界経済減速の行く先は、マクロ的縮小均衡である。中国経済・世界経済の共倒れシナリオだ。

次に、中国は今年に入り米国債売却を開始した。中国側から見れば、メイド・イン・チャイナの輸出代金として巨額の米ドルを受け取り、その受け皿として流動性の豊富な米国債を保有せざるを得なかった。

米国債は米国の借金証文ゆえ、実質的に、中国製品をツケで売ってきたわけだ。

この保有米国債は、売却すると、ドル金利が上昇するので、マクロ経済状況次第だが、米国経済をかく乱する武器にもなりうる。

中国にとって米国債は戦略的輸出品になりうるのだ。

そして、原発輸出。相手国は英国だ。

厚遇を受けた習近平訪英の際に、手土産として持参した。

そこには、中国側のしたたかな読みがあった。

受け入れるヒンクレーの原発は60年代に作られ老朽化が激しい。そこで、フランス電力公社と共同で原発新設を進めていたが、同公社のリストラで実質的に頓挫していた。その窮状に目をつけ、「協力」を申し出たのだ。中国製原発は、フランスの技術支援で作られたシロモノだが、安全性に疑問がつきまとう。英国内でも反対論が噴出した。しかし、最後は政治的決断で、受け入れを決めた。英仏独伊そしてインドまでチャイナマネー争奪戦に加わってきたからだ。中国側にしてみれば、一帯一路の終着駅をおさえ、時間をかけて間を

うめてゆく構想なのだろう。中国製原発に英国のお墨付きも得た。

メイド・イン・チャイナの実相は劇的に変化してきた。

さて、プラチナ価格が、870ドル台。

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添付の10年グラフ見れば、長期的に底値圏になることは明白。ここまで下がるとは思わなかったが、投機マネーが下げを増幅させているので、いずれ買戻しは必定。基本的に景気敏感メタルゆえ、世界的経済減速で売られるが、景気循環サイクルがいずれ転換すれば、一転買われてゆく。

今日の食べ物写真は、タチ(鱈の白子)。

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もう北海道は冬だな~~という季節感。

東京としては、良質のタチだった。

とはいえ、冬の北海道で食するタチは別格、というか、ホンモノ。それが、回転ずしで一貫50円くらい。クリーミーで、匂いもなにもない純な味。酒飲まない私だけど、お茶で食べられる白子だよ。殆どムース感覚。

それから、事務所整理していたら、懐かしいしわくちゃ写真が見つかった。2010年の番組告知。

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「金、1400ドル、その先を読む!」

ふーむ、今なら、さしづめ、「2016年、金1400ドルあるか」

はい、瞬間タッチだけど、あると思う。

今は陰の極だから。

2015年