2015年3月31日
30日、バーナンキ氏がブログを始めた。
冒頭から、「在任中から金融政策の98%はトーク。2%が行動。公式発言で将来の金融政策に関する市場の期待感を形成できることは、FRBが持つ最強のツールの一つ。」と書いている。
彼の前任者、グリーンスパン氏が、上院委員会で語った「中央銀行家として支離滅裂モグモグ語ることを覚えた。」との発言も引用している。
「私はもはや一民間人。FRBウオッチャーに精査されることなく発言できることを楽しみにしている。」
とはいえ、バーナンキ氏もグリーンスパン氏も、その発言はいまだに注目を集め、講演料は10万ドルをくだらないといわれるほどだ。
一民間人になったバーナンキ氏は「住宅ローンの借り換えを断られた。」とセミナーで語ったこともある。「8年間FRB勤務。現在引退して一個人。」とのコンピューター・データで自動的にはねられたようだ。このエピソードは、米国不動産市場が、貸し渋りで、まだら模様が続くことを示唆する例として興味深い。
そして、バーナンキの後任、イエレン氏は、27日にサンフランシスコ連銀で講演。
「今年中に利上げが正当化される状況になることを期待している。」と、かなり明確な表現で語った。中央銀行家として、金融正常化は急ぎたい。ゼロ金利・量的緩和など「伝統的には禁じ手とされてきた政策」は「正常」ではないので、早く「異常」な状況から脱したいとの本音がにじむ。
いっぽうで「今後数年はFFレート上昇が緩やかと予想する。」とも述べている。具体的には「FOMC毎会合に同じ幅の利上げを続けることはない。経済状況により、利上げペースを速める、減速する、停止する、あるいは、逆に利下げすることもありうる。」と「モグモグ」語った。
FOMC参加者の予測する金利予測は、明確に、長期的にはインフレ率2%プラス1.75%という表現で、名目FFレートは3.75%と明示した。年に約1%ほどの利上げペースとすれば、今年は、せいぜい0.5%ということになる。
FRBは、利上げをちらつかせつつ、実質的な緩和継続。
そこで、市場は、「年内利上げは覚悟のうえ。利上げがこの程度のペースなら、歴史的に見れば、超低利水準。」と受け止め、NY株急騰で反応した。
最近は、世界が総じて緩和に向かっているときに、米国だけ逆行して利上げに走るリスクが語られるが、俯瞰すれば、世界的緩和状況に変わりはないのだ。
それを象徴するごとく、30日は世界同時株高となった。
週末の中国版ダボス会議(於海南島)では、中国人民銀行総裁が、デフレの可能性に言及して、利下げを示唆した。住宅購入緩和措置も発表され不動産不況テコ入れに動いた。中国はまだゼロ金利まで2%以上の余裕があるので、金融政策の懐が深いことが強みだ。上海株も、緩和熱烈歓迎とばかり、急騰した。
欧州も、ユーロ安・ECB量的緩和に支えられ、株価上昇中だ。
そして、日本株も、日経平均2万到達の短期モメンタムは失速気味なれど、しぶとく、持ちこたえている。
外為市場では、円高気味だったが、株高を映し円安に振れ、120円突破。
そして、市場過剰流動性の視点では、前FRB議長バーナンキ氏が残した「量的緩和の遺産」は市場にまだマグマのごとく残っている。
同氏のブログ第二回のタイトルは「金利はなぜ低いか」
「在任当時、ゼロ金利で貯金者いじめはやめろと議員たちから非難された。しかし、ゼロ金利で景気を浮揚させて、初めて、貯蓄者たちも安定的な生活ができるのだ。」と書いている。とはいえ、マイナス金利までは想定外だったろう。
このマイナス金利が、投資家をリスク志向に走らせていることも、世界同時株高の背景として、忘れてはならない。
国債保有でカネをとられるくらいなら、株や金プラチナなどのリスク資産に資金を回す、との気持ちがジワリ相場に効いている。
とはいえ、金市場は、同じイエレン講演でも、年内利上げ示唆の箇所に反応して売られた。
金は1180ドル台、プラチナは1110ドル台。パラジウムも大崩れで730ドル台。
ただし、円安120円進行が円建て価格には効いている。
プラチナは下がれば下がるほど個人投資家には買われている。
プラチナカードのステータスがゴールドカードを下回るというのはいかにも異常だからね(笑)。
今日の写真は我が家の自室から見た桜。
部屋から花見もいいもんだ。
事務所のほうでは近くの佃島にいっぱい桜が咲いている。
そして、越後湯沢はまだ早いけど、午前は山のうえでスキー。午後は山のしたで花見&温泉という、夢のような日々が待っているのだ♪