豊島逸夫の手帖

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プラチナ1100ドル割れ

2015年3月18日


プラチナが引き続き金より安い状態が続いている。

ここまでの下げは想定していなかった。

地上在庫からの還流という要因も効いている。

しかし、長期的に見れば、この逆ザヤはいずれ順ザヤに戻る。投機筋の売りには限界があろう。

長期的には買いと見る見解には変わりなし。


金は米利上げが切迫感を持つにつれ1140ドル台に続落。足元でドル円が膠着しているので、円建てでも安くなってきた。2014年の私の予想レンジ下限1100ドル(最近の日経に載った予測では1125ドル)に接近中。こちらは予想通り、米利上げ局面が底値になりそうな展開になってきた。


そして、日本株市場について。

「ファナックに続き、トヨタが来たか。悪くないね。」

普段は冷静な米国年金運用担当者が、感情を隠さず呟いた。

世界の市場は、2015年1~6月期、最大のイベントともいえる3月FOMCが始まり、ほぼ10年ぶりの米利上げに不安を感じ、身構えている。17日のNY株価も急落した。

短期的乱気流を覚悟しつつ、次の一手を模索中だ。

そこに、米国株のもたつきを後目に、日本株がスルスルと上げ始めた。

当初は、日経平均19000円の大台を突破しても、海外では、そこから新たな買いの仕掛けはトレンド・フォロー型のヘッジファンドに限定されていた。

しかし、ファナックのIR強化・株主還元重視への姿勢転換による株価急騰をキッカケに、日本株の質的改善を評価する動きが出始めた。

そして、17日の東京市場で、日本を代表する企業のトヨタが史上最高値を更新した。グローバル・スタンダードで見ても、収益・株主還元両面で、「横綱相撲」ともいえる上げっぷりだ。

相次ぐ賃上げ報道にも敏感に反応している。FOMCも「賃金上昇の伸び悩み」を不安視している市場環境なので、日本の賃金上昇傾向は極めて重要な要因だ。


いっぽう、米国株は利上げ観測でもたつき、欧州株はECB量的緩和・ユーロ安をてこに急騰中だが、ギリシャというアキレス腱をかかえる。新興国株には米利上げによるマネー引き揚げリスクがつきまとう。


世界の株式市場という視点で見れば、ROE経営への転換傾向に裏付けされた日本株の上げは「ホンモノ」との認識が強まり、期待度は高まる市場環境だ。

年金マネーはすぐには動かないが、その影響は、今後、ボディーブローのごとく、日本株上昇トレンドにジワリ効いてきそうだ。


いっぽう、17日の黒田会見を見たヘッジファンドの一部に、4月追加緩和を見込んだ「短期勝負」をもくろむ動きを感じる。「物価水準がマイナスとなる可能性を否定しなかったのか?」と確認の問いを投げてきた。英文報道ではニュアンスや発言時の表情などが分かりにくいとみえる。この人物、先週NYで会ったときは、しきりに追加緩和の可能性を聞いてきた。自らの持論である「今年の5月は売りの切迫感。」も再び語り始めた。「ギリシャ首相はロシア訪問。救済延長期限の6月までに、ギリシャリスクが再びピークを迎える。6月のFOMCも、大きな転換点の会合になるだろう。その前に、ポジションはいったんクローズする。」

「ミスター・クロダにとって4月30日あたりがDデイかな。」との独り言のような言葉が印象的だった。

そこで、かりに、投機筋による仕掛けで急騰・急落局面が生じれば、買い出動開始に動くと思われるのが欧米年金などの長期マネー。

GPIF・日銀の下方支援に追加緩和の援軍が加われば、保守的なマネーにとっては、得難い安心感となろう。


総じて、日本株上昇ペースは想定より早まり高値警戒感も出やすい地合いだが、ファナック・トヨタの実例が、海外マネー本格参入の可能性を高めた。ヘッジファンドもからむので、外部要因によるボラティリティーは高まろう。しかし、これまで欧米市場を主戦場としてきた膨大なマネーの一部でも、その矛先を日本に向けると、分母が大きいだけに、思わぬ高値を示現する可能性をひめる。ここから買いに入るとすれば、ターゲット・レンジは日経平均2万から2万2千程度も絵空事とはいえない。

ただし、調整売りに鍛えられることなく、「押し目待ちに押し目なし。」とばかりに急騰が続いてしまうと、後の反落局面が辛くなる。

日本株の質的改善を信じ、ジックリ構えることができるか。日本人投資家のリスク耐性が試されそうだ。


さて、NY弾丸出張講演、成田から日経ホール直行で日経株式セミナー参加(パネルに15分遅刻)と続き、昨晩は気晴らしに、洗足池マガーリへ行った。

ふきのとうの苦みと、プックリ、アサリのコラボが効いてたパスタ。旬の春魚サワラの春キャベツソースがけもセンス良かった。

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NYのイタリアンより繊細で日本人に合ってるな。。。機内食多かったから、家庭的雰囲気の中でハッピーな気分になれたよ。

気候も暖かくて夜の通りを歩くのも気持ちよかった。

さーて、今晩はイエレン記者会見。早朝まで

寝られないな。気張ってゆきます!

2015年