豊島逸夫の手帖

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欧州テロ情勢、その後

2015年11月27日

ドイツのメルケル首相も辛い立場にあります。国内では、あまりに難民の数が激増したので、そろそろ受け入れも打ち止めにしろという意見が強まっています。更に、貧しい東欧諸国は、ドイツが難民に甘い顔しているから、次から次へと後を絶たないのだ。ドイツも難民を規制せよ、との声が高まっています。そこで、折衷案として、EUが、難民たちの入り口であるギリシャとトルコに財政的援助して、難民受け入れセンターを数多く設置する案がまとまりつつあります。そこで食い止めたいわけ。

更に、オランド大統領は、対IS包囲網構築の協力を確認するため主要国行脚の旅。メルケル首相とも会談。狙いは、メルケル首相が東ドイツ出身でロシア語でプーチンと話できる唯一の首相なので、まとめ役を務めてほしい。いっぽう、ドイツは、シリアに直接軍事介入はしにくい立場なので、マリのほうに援軍を送って、フランス軍が、より多くの部隊をシリアに送れる体制をサポート。

その間、トルコとロシアは、戦闘機撃墜を巡り、謝れ、いや、謝るべきはそっちだ、と応酬合戦。ほくそえむのはIS。

なお、ベルギーの、(最近よく報道される)モレンビーク地区は、ドラッグの闇取引も盛ん。イスラム系ティーンエイジャーに売買業者がいる。警察の取り締まりも甘かった。それがテロ用のカネとヒトの源になった。そして、逮捕された場合には、刑務所で過激派思想に染まる例が多い。いっぽう、ベルギー首相は、イスラム教徒が集まるモスクを取り壊すと発言。しかし、そもそもモスクに行ってお祈りなどしない不届きなイスラム教徒がテロリストになるケースも多い。

更に、テロリスト間の連絡も、スマホでは傍受されるので、家庭用ゲーム機のチャット機能とか、暗号用アプリの使用。後者は、自動的に数分後にメッセージが消滅する仕組み。

そして、これはフランスの例だが、空港職員に過激派思想に染まった人物が多いとの情報で当局が捜査中。特に、出国審査出た後の空港内に立ち入りできる人たち。実例として、女性客にはソッポ向いたり、突然、勤務中にお祈りの時間に入ってしまう空港バス運転手。

いっぽう、パリは、徐々に立ち直りの気配。献血そしてけが人に対する止血法を教える訓練などがパリジャンを集めている。ベルギーも、都市機能を停止させるほどの警戒体制はやり過ぎとの意見もあり、個人の自由と国の監視のバランスが難しい。

明日土曜日は、このあたりの話をABC朝日放送で午前中にやって、午後は京都で紅葉見物と思ったけど、混んでるだろうな。日曜日は仙台だし。まぁ、行きつけの祇園料理屋で旨い京料理食べられればいいや(笑)。 そろそろ、冬のエビイモとか大根の炊いたん、の季節だし♪

なお、昨日の日経朝刊商品面で、金と原油の関係についてコメントしたけど、要は、後講釈で、どうとも言えるということを言いたかった。もはや決定的な市況の法則はない。

2015年