豊島逸夫の手帖

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ここの円高はホンモノか

2015年12月25日

クリスマス休暇状態の市場で日本人の目を引くのは、不気味な円高。120円大台攻防の様相だ。2015年が120円台で終わるのか、119円台になるのか、心理的にかなりインパクトがある現象だ。

24日も、121円近傍から、120.30円前後まで円が急騰した。

今週は原油価格がさすがに反騰しているので、原油安由来のリスクオフで、逃避通貨としての円が買われるという流れではない。

市場の底流には、やはり、18日の日銀「補完緩和」が誘発したアベノミクスへの不信感がくすぶっている。同日付日経電子版速報でも書いたが、外国人投資家にはすこぶる不評だ。日銀の切り札、追加緩和の手段が限られることを印象づけたからだ。「補完」という言い回しも、日本語でも英語訳でも、分かりにくい。NYのヘッジファンドは、日銀政策決定会合で、賛成6、反対3という異例の割れ方に特に注目。様々な憶測を筆者に投げてくる。

米国年金運用担当者からは、金融政策への過度な依存に対する懸念も聞こえてくる。

では、2016年は、このまま円高の年になるのだろうか。

冷静に俯瞰すれば、日米金融政策の非対称性という根源的状況は変わっていない。大きな流れは、やはり、ドル高・円安だろう。

とはいえ、米利上げ開始といっても、米国マクロ経済指標がまだら模様の中での、見切り発車だ。とりあえず、非伝統的金融政策を解除して、金融正常化に向けたロケット第一弾点火である。しかし、第二弾が無事点火して、成層圏脱出なるか否か、実は、まだ定かではない。人間ドックの「要経過観察」、3か月後、再検査、とでもいえようか。足元で外為市場でのドル反落基調は、患者の不安な気持ちを映すかのごとき現象だ。

市場は、未だ、米利上げの呪縛から脱し切れていない。2016年も、FOMCごとに、利上げ有無が取り沙汰され、マーケットに様々な見解が流れることになろう。2回目の利上げ確実視される時期には、ドル高円安。それが先送りされれば、ドル安円高に振れることになろう。

米国側の潮流は、緩和から引き締めに転換中ゆえ、ドル高だ。しかし、2016年には、これまでのような、一方向の急速なドル高進行は考えにくい。ドル売り・ドル買いが交錯して、トレンドラインはドル高方向となるのではないか。

いっぽう、日本サイドの要因で筆者が注目しているのは、経常収支における所得収支黒字が極めて安定的に推移していることだ。日本が海外で稼ぐ力を表わす指標ゆえ、日本経済の今後の姿も示唆している。そして、これは円高要因だ。

以上をまとめると、2016年の円安も、125円程度が現実的な落としどころか。米国ヘッジファンドにも、これまでのような、円売り一本の姿勢は見られない。対ドルで売る通貨としては、ユーロに目が向いている。

株式市場でも、米国の視点でみた国際分散運用の対象として、日本株の最大のライバルが欧州株だ。欧州中央銀行(ECB)と日銀の緩和度を比較しつつ、足元では、欧州株を選択している。

ドラギ総裁も黒田総裁も、追加緩和について、それぞれに市場を失望させたが、ECBは2016年初に更なる追加緩和に動くとの予測に基づく。

それだけに、日銀の次の一手次第では、マネーが欧州から日本へ回遊する可能性も秘める。

ワイルドカードが、新興国株・中国株だ。

新興国株をひとくくりで扱うことはできない。ブラジルは論外だが、インドなら、経済成長率も7%台で、遂に中国を追い抜いた。イソップ物語のウサギとカメを見る思いだ。更に、利上げ=新興国からのマネー流出のストーリーも市場では陳腐化してきた。

中国株については、経済不安は厳然として残るが、ゼロ金利ではないので、利下げという伝統的金融政策の余地を残す。財政出動も、先進国ほど累積財政赤字で縛られる状況ではない。経済政策の懐が深いだけに、株式市場では買い材料が出やすい地合いだ。但し、中国人個人投資家主導の上海株という脆弱な構造は変わっていない。

2016年の株式市場は、各国の「弱さ比べ」で、相対的にマシな国の株が選択されることになりそうだ。国別循環物色で、日本の番が巡ってくるのは何月頃になるか。世界のマクロ経済情勢への目配りが欠かせない。

そして、ドル安とともに、金は1070ドル台で堅調。底値圏確認中。

なお、今晩、日経プラス10(BSジャパン)の後半トークにて、2016年株・為替展望に当たっての三つのリスクシナリオについて解説する。

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更に、明日朝9時半から、ABC朝日放送のいつもの情報番組に生出演。

今回は中京地区のテレビ朝日系列局にも流れる。

年末3時間半拡大版。なんか、スタジオで寝ちゃいそう(笑)。私の担当は、どうなるEU。難民、テロ、VWそしてギリシャ。

超真面目な番組と、初心者に分かりやすく楽しく説明する番組と、激しい温度差を楽しんでます。

そして、昨日のイブは、もちろん、マガーリ。

季節の香る白トリュフ奮発して頼んだ。今年のは、特に、香りがしっかり。シンプルにチーズ&パスタにのせていただいた。相性抜群だし。鮮魚は、どんこのグリル。エゾイソアイナメとも呼ばれる北海道産。肝ソースがたまらない♪

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ハインツベックより、やっぱり洗足池のほうが、いいな~。

2015年