2015年3月6日
米国は量的緩和を終了しましたが、代わって、欧州中央銀行(ECB)が、昨日、「来週から量的緩和=国債などを大量に購入」開始と発表しました。
世界的なカネ余り現象は変わりそうにありません。
特に、最近は、安全資産といわれた国債が、満期まで保有するとペナルティーみたいにおカネを払わねばいけない、という異常な事態になっています。マイナス金利とよばれる現象です。
これは、ひとえに、主要国の量的緩和政策によるものです。
中央銀行が巨額の国債を買い占めてしまうので、残りを民間の投資家たちが奪い合うことになったので、国債が品薄になり、希少価値がついてしまった結果です。そうなると、民間の買い手=投資家たちは、利息が少なくてもいいから、安全な国債を買いたい、ということになります。遂には、利息はゼロでもいい、から、利息は私が払うから、安全な国債を是非買いたいという人たちが現れました。普通、国債を買えば、なにがしかの利息をもらえるわけですが、今回ばかりは、買ったほうが、手数料みたいにおカネを払うという、珍現象です。
水と安全はタダではない、とでもいいましょうか。
そもそも、国債だって、ギリシャみたいに国が破たんすれば、紙切れ同然になる可能性があるのですよね。
このような情勢の変化で、金が改めて見直されてきました。
安全資産の代表格である国債がマイナス金利という異常事態になったので、次の選択として、やはり「金」が浮上してきたわけです。
欧州中央銀行が量的緩和に踏み出したことで、長期的には金が再評価されるでしょう。但し、短期的にはユーロが暴落して、世界的にはドル高が進行しています。ドル円だけ見ていると感じませんが、世界の為替市場でもっとも取引量が多いのは、ドル・ユーロの通貨ペアなのです。
ドル高となるとドル建ての国際金価格は売られますよね。
ですから、金は短期的には弱いが、長期的にはカネ余りで買われることが予想されます。
いっぽう、プラチナは欧州中心のディーゼル車に使われるので、欧州景気悪化で売られてきました。しかし、ECBの量的緩和政策による景気テコ入れで、今年のEU圏経済成長率も年率1%から1.5%に上方修正されました。そうなると、プラチナが金より安いという今の状態は、いずれ本来の姿に戻るでしょう。