豊島逸夫の手帖

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円123円の真相、金やはり1200ドル割れ

2015年5月27日

今回の円安の震源地は、米国と欧州。

米国の利上げ観測によるドル高と、ギリシャ・スペイン不安によるユーロ安=ドル高の複合構造になっている。

1~3月にはドル買いの反対取引としてユーロが集中的に売り浴びせられたが、今回は、売りのエネルギーがユーロと円に分散している。

市場内部要因を見ると、CTA(コモディティー・トレーディング・アドバイザー)によるアルゴリズム取引が火つけ役となった。「イエレン、年内利上げ」のキーワードが、「円売り」を発動させたのだ。

そこに、乗り遅れたヘッジファンドの一部が、125円目標に、新たな円売りポジション醸成へ走った。

ドル円は膠着状態にあっただけに、蓄積していた相場エネルギーが一気に噴出することとなったのだ。

冷静に見れば、キッカケとされるイエレン講演を読めば、年内利上げ見通しにつき、数々のヘッジをかけており、新味は乏しい。

しかし、アルゴリズム売買は、ヘッドライン(見出し)で動く。あとは、高速度の力で市場を動かす。そこで相場レンジが122~123円になれば、それが既成事実となってしまうのが、近年の相場の特徴だ。

更に、26日の米国市場では、日米金利差が拡大したわけでもない。10年債利回りは2.14%台で、前日比大きく動くこともなかった。

いっぽう、市場の不安定感を映すVIX指数は一日で15%以上急騰した。リスク回避として逃避通貨としての円に買いが入ってもおかしくない地合いであった。

しかし、既に加速していた円売りのモメンタム(勢い)は、収まる気配なし。

121円でのミセスワタナベの巨額ドル売りも圧倒し、損切り(ストップロス)のドル買いを誘発した。

ちなみに、常に日本に対して悲観的見方を述べることで知られるヘッジファンドのカール・バス氏が「日本に関して、我々は完全に見誤った。」と発言。日本国債売りで円金利急騰を予測していたが、外した。当たったのは円売りポジションだけだ、と語っている。

イエレン氏も、意図せざる外為市場の波乱に慎重になったのだろうか。今年のジャクソンホール中央銀行会議を欠席することになった。

古巣のイスラエル訪問中のフィッシャーFRB副議長も、「金融正常化のプロセスで生じる市場の混乱は、制御可能。」と「火消」発言を試みた。しかし、市場では「利上げを前提とした価格変動の激化は不可避。」と解釈して、VIXも急騰したのだ。

結果的に、ドル買い・円売りの波は、NY株式市場も直撃。ドル高を嫌気した売りに見舞われ、「5月の売りはなかった。」と安堵していた市場を揺らせた。

日本株もNY株安と円安のはざまで、上げの実力が試される。

米利上げ観測は米マクロデータの出方で振れるが、ギリシャ不安は6月にデフォルトか否か、おおよその決着はつきそうだ。(詳細は、本欄26日付け「偶発的ギリシャデフォルトに身構える市場」を参照されたい。)

目先では、米雇用統計と、ギリシャのIMF融資返済期限が重なる6月5日が要注意だ。

金はドル高で1180ドル台まで急落。

但し、円安進行で、円建て金価格は、若干下がった程度。

やはり円安の時代には、国内金価格が下がりにくいことが実証された。

昨日は、ギリシャ特番のスタジオ部分収録。

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その後、相方の佐久間あすかキャスターxx歳の誕生日祝い(前夜祭)。家内も加わり、家庭的な雰囲気でした。

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日経CNBCのHPに、金融闘論とギリシャ特番の告知が出てます。

利上げとギリシャ。結果的に旬の話題となりました。

http://www.nikkei-cnbc.co.jp

2015年