2015年4月24日
ギリシャ問題について現地の感触を体感するためフランクフルト・アテネ出張中。まずはドイツに寄った。
4月24日と5月11日に開催されるEU財務相会合で、果たして、ギリシャが妥協するか。ボールはアテネに投げられている。EU側は救済条件としての構造改革案にもはや妥協の余地なし。ギリシャが受け入れなければ、ギリシャ国債デフォルトもやむなし、との構えだ。ECBも、保有ギリシャ国債につき、債務削減率(ヘアカット)を額面の75%とする案を既に検討中との情報も現地には流れる。「総論やむなし、各論協議」の段階に来たかのような様相だ。
メルケル首相も、ギリシャは見限って、ロシア経済制裁問題に優先順位を置いているようだ。東ドイツ出身で、ロシア語を話せるので、プーチンと本音で話せる西側唯一のリーダーである。
独ロ経済関係は切り離せないほど深化している。
更に、チプラス首相がロシアに秋波をおくっているが、NATOとしては許容しがたい。ここは調停役としてメルケル首相の出番であろう。
いっぽう、チプラス首相率いる急進左派連合は、トロイカ(EU、ECB、IMF)に妥協するか否か、連合政権内部は真っ二つに割れ、収拾の目途はつかない。
政局混乱を見越し、ギリシャ国民は、資本規制・預金封鎖に備え、ユーロ紙幣を退蔵しているので、表面上、パニックにはならず、他人事のように事態の推移を見守っている。歴史的に、ポリス(都市国家)の集合体ゆえ、国家への帰属意識が希薄と感じる。
最新の動きとしては、資本逃避の手段としてビットコイン使用が急増しているようだ。資本規制の抜け道としてバーチャルなルートがあった。
市場の反応は、やはりデフォルトやむなし。なにせ返済能力はなく、反省も感じられないからだ。
とはいえ、次の段階のユーロ離脱となると、「その可能性は低い」としながらも、悪しき前例を作ることへの警戒感は根強い。次に経済危機の陥る国が出て来た場合、やはり離脱を放置するのか、との議論である。仮に、現実となった場合、未知の事態に対する市場の混乱は避けられまい。日本にとっては、有事の円高というケースである。
それにしても、ギリシャ国民は、果たして、本気でユーロ離脱を容認せねばならぬほど緊縮疲れもピークに達しているのか。更に、現地にて、「下から目線」で探ってみたい。
お馴染みの旧ECB前のユーロ・モニュメント。近くで見ると、いたずら書きが多く、劣化も進行している。ユーロ不安を象徴するような光景だ。
その他、おいしいもの関係の写真はツイッタ―@jefftoshimaにタップリ掲載中(笑)。