2015年6月11日
まず、一昨日生出演したBSフジのプライムニュース(2時間!)のダイジェスト版が、以下の、プライムニュースHPで前半25分後半25分見られます。だいぶカットされていますが。基本的には政治番組。テーマは中国だったので、私のトークは、もっぱら上海株爆上げバブルの話でした。あとのお二人は中国問題専門家でした。生出演しつつ、彼らの話は勉強になりました(笑)。 昨日はいきなり日中議員連盟とか政治団体から講演の依頼がいくつか来て、でも、全部お断りしました。あしからず。政経分離!
それにしても生で2時間は長かった~。
常にカメラの前だから、うっかりあくびも出来ないしね。そんなときに限って映ったりしてるもんだし(笑)。
それでも、地上波に比べて、BSは時間がたっぷりあるので、充分語れますね。それに日本中どこでも見られるし。日経CNBCだと契約してないと見られない。
↓ プライムニュースのホームページに。
http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.html?d150609_0
この原稿は、四日市で書いています。
今週は、明日が仙台で、慌ただしい。
さて、本論は昨日のクロダ・サプライズ円高の続編。
金融政策決定会合後の記者会見では、為替に直接言及することを常に避けている黒田日銀総裁が、国会衆院財務金融委員会で「さらなる円安はない。」との見通しを述べた。市場も、金融政策決定会合後の記者会見はライブ中継に釘づけになり、ちょっとした発言にも神経質に反応する。しかし、昨日の民主党前原誠司氏への答弁に関しては、まったくといっていいほど、注目していなかった。「今日の注目マーケット関連イベント」にも載っていなかった。それだけに、投機筋には「奇襲攻撃」のインパクトを与えた。
そもそも「今回の円安は米雇用統計改善などを受けたNY発ドル高であり、特に円安要因はない。」との解釈が(筆者を含め)一般的であった。従って、アナリスト・トレーダーにも「してやられた」との思いはあろう。
それにしても、昨日の東京外為市場は、要人発言を受け、瞬間的に大量の売買注文が発動されるプログラム・トレードの実態をまざまざ見せつけられた。
国会での黒田発言が報道された直後には124円60銭から123円前後まで、ほぼ瞬間的に下落。一分足を見ても、ほぼ直線的変化だ。
更に、夕方になり、甘利経財相が、経済財政諮問会議後の記者会見で、黒田総裁との「雑談」を披露。「自分の発言が市場に大きな影響を与えてしまったが、それは全くそんなことを考えて言っているわけではない。」「あれは黒田バズーカ第三弾ではない。」と話していたことを明らかにした。その直後、円相場は122円70銭前後から123円30銭前後まで、これもほぼ直線的に急落している。
まさに、市場は要人発言に翻弄された一日であった。
投機筋主導の円安相場ゆえ、今後も、市場のボラティリティーが高い状態が続くであろう。
それにしても、黒田発言のタイミングは絶妙であった。海千山千の米ヘッジファンドたちも舌を巻くほどだ。
円相場は、ほぼ「満額回答」の5月米雇用統計を受け、節目とされる125円台に突入した後、124円台に反落して、値固めに入り、レンジが124~5円台にシフトしていた。そろそろ再度125円台に向け再度ヘッジファンドの仕掛けがあるか、と市場は身構え、専門家予測も127~128円を視野に入れ始めていた。
しかも、125円から130円までは、相場的には、ほぼ真空地帯であり、円安が加速しやすい値ごろである。
そのタイミングで、突発的な「さらなる円安はない。」発言。
これは効いた。
黒田総裁のマーケット感覚は「お見事」としかいいようがない。
甘利経財相との雑談でなんと語ろうとも、日銀金融政策決定会合とは異次元のコメントで、直接的に為替に言及したことだけは間違いない。それを、ご本人が、全く意識していなかったとは、とても思えない。
結果的に、ドル買い・円売りポジションをかかえた多くのヘッジファンドや個人投機家は、完全に「一本」とられた。自動的に発動されるストップロス(損切り)により、多額の損失をかかえることになったのだ。
なお、NY時間に入ると、「ドル安」がNY株の買い要因となったので、米国株投資家は、黒田発言を「熱烈歓迎」。「サンキュー、ミスター・クロダ」との声も聞こえた。
さて、今後の動向だが、米国の利上げ・欧州経済指標改善を視野に、米10年債利回りは2.4%台に、独10年債利回りも一時は1%台に上昇中だ。中期的ドル高・円安トレンドは変わらない。
123円台から120円に戻るのか、再び125円を試すのか、といえば、後者の可能性が極めて強い。米利上げ開始が9月にせよ、12月にせよ、円相場が円高で定着するような地合いではない。黒田発言は、円安速度にスピード違反の切符を切ったが、円安の方向性は変わらない。
今回は一本とられたヘッジファンドも、このまま、「稼ぎ頭」のひとつであるドル円売買から撤退することはない。
FOMC更に米マクロ指標を見つつ、徐々に、ドル買い・円売りを再開してゆくだろう。今年は、既にユーロ売りで大儲けしているので、余裕はある。ドル円で2円ほどやられても、全体のパフォーマンスへの影響は軽微といえる。
「捲土重来」を期すヘッジファンドと、金融当局の神経戦は、夏場にかけてヒートアップしそうだ。
ドル安になると、国際金価格は1180ドル台まで反騰。
私はレンジで1170~1230ドルと日経では語ってきたので、やはり底値圏での反騰かね。
今日の朝刊商品面には、面白い金関連記事出てた。
NY連銀に預託してある公的保有金の引き出し相次ぐという話。
そのNY連銀前で以前番組収録したときの写真をふたつほど。
相手は、江連裕子(株)杵屋フーズ社外取締役。
そういえば、彼女の社外取締役就任予定の記事が、ウオールストリートジャーナルに掲載。記事のPDFCorporate Japan Looks for Outside Advice - WSJ.pdfと、ビデオ版をはっておきます。すっかり、時の人になって、取材が凄いみたい。昔の相方としては、がんばってほしいね!応援してるよ!