2015年1月9日
シカゴ連銀エバンス総裁は、FOMCメンバーでハト派として知られ、イエレン議長に近い人物とされる。8日、同氏がシカゴ大学での講演で、利上げを早まるリスクについて、カタストロフィー(壊滅的)という強い単語で表現した。NY株式市場寄り付き直前のタイミングであったので、この衝撃発言を受け、ダウ平均はいきなり200ドルを超す急騰となった。エバンス衝撃発言がNY株ロケット発射のボタンを押した感がある。
特に、同氏発言が重く受けとめられる背景には、2015年FOMCでの投票権を持つメンバーの入れ替えが指摘されよう。昨年までタカ派両巨匠といわれたフィラデルフィア連銀プロッサー総裁とダラス連銀フィッシャー総裁が外れ、代わって入ったひとりがエバンス氏なのだ。それゆえ、米国FRBウオッチャーの間では、2015年のFOMCはハト派イエレン氏の色に染まる、とも言われてきた。
更に、米雇用統計発表前日というタイミングも市場を刺激した。
というのは、同氏は、こうも述べているからだ。
「米国経済については楽観的。経済成長率は2.6%、労働市場は毎月20万人以上の新規雇用を生むと予想。されど、FRBの2%インフレ率目標達成には3-4年かかる。」
更に、原油急落のインフレ率への影響も注視すべし。住宅市場の回復力もまだ不十分。インフレ率目標達成に必要な賃金上昇率は3.5%から4%、と極めて具体的な数字を並べ、論じている。
とはいえ「利上げ開始時期は私の考えより早まることもありうる」ことも認めたうえで「利上げ幅が浅ければ、適当な緩和状態が維持される」とも語っている。
この発言から想定されることは、市場の予測どおり2015年央に利上げ開始となっても、極めて小幅な利上げに留まる、ということだ。
2015年後半、0.25%刻みあるいは場合によっては0.125%刻みで2-3回程度の利上げペースが現実的な落としどころかもしれない。世界経済低成長、原油急落による産油国・新興国経済不安、ギリシャのユーロ離脱不安が嵩じると、利上げが2016年に後ずれする可能性も無視できまい。
総じて、今回の米利上げサイクルは、3年以上かけて、ほぼ0%から3%程度に緩やかに上がってゆくことが考えられる。これは、史上まれに見る、極めて低いレンジでのスローな利上げパターンだ。
市場環境も史上まれにみる、きわめてボラタイル(変動的)な状況である。
イエレンFRBも、物価安定と経済成長の二つの金融政策目標達成を目指し、市場をなだめつつ、慎重に「出口戦略」という海図なき航海に乗り出す。
マーケットは、その予告編を8日のNY株式市場で見た感がある。
さて、私の英文原稿が載ってます。↓
http://asia.nikkei.com/Markets/Capital-Markets/New-year-begins-with-a-crude-awakening
英語の勉強したい方は読んでみてください。
明後日日曜日発売の日経ヴェリタスのコラム「逸's OK!」には暴れるオイルマネーについて今朝書きました。
今週末は、恒例の、北近江は長浜の鴨なべに行きます!
今年は雪が多いから、雪下セリと雪下ネギがシャキシャキと甘い感触で旨そう。
鴨フレーバーのセリとネギを食べに行く感覚。
肉一人前に野菜二人前たのみます。
スキー三昧で、太ももはパンパンに張って、でも仕事の疲れと違って、心地よい疲れに浸ってます。