豊島逸夫の手帖

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10月日銀追加緩和と米利上げ同時実行の現実味

2015年9月16日

15日の日銀金融政策決定会合と黒田総裁の記者会見は、いつになく欧米市場関係者の関心を集めた。その理由として、もちろんFOMC直前というタイミングが挙げられる。

そこで、ひそかにウォール街で語られ始めたシナリオがある。日銀追加緩和と米利上げが10月に同時実行されるという説だ。

既に、ECB(欧州中央銀行)ドラギ総裁は、量的緩和政策延長の可能性に言及した。量的緩和導入に関して、日米に遅れをとった分、現時点では欧州の相対的に緩和する余地が大きい。そこで、緩和期待による欧州株選好度も高まっている。

では、日銀は、消費者物価上昇率がゼロ近傍をさまよう中で、なにもしないのか。欧米市場でも、追加緩和観測に切迫感が出始めている。

「やるとすれば10月か」

そんなつぶやきが、昨晩も、ヘッジファンドとの対話で聞かれた。

そして、FOMCの利上げ時期についても、FOMC後の記者会見がない10月開始説が浮上している。中国発市場波乱の行方を見届けてからの決定というシナリオだ。10月のFOMCは記者会見がないが、利上げ決定の可能性は排除されていない。

そこで、米利上げと日銀追加緩和がほぼ同時に実行されるシナリオが現実味を帯びてくるわけだ。

その共振現象は、円安が125円を超えて急進、日本株は日経平均2万円回復が実現するほどのサプライズ性をひめる。

米利上げのNY株価への影響は、直後にアルゴリズム売買による急落は考えられるものの、「利上げをめぐる不透明感」が払しょくされるプラス効果も無視できない。そもそも、黒田総裁も記者会見で指摘するごとく利上げは米国経済回復の証なのだ。ダドリーNY連銀総裁は、利上げは「祝い事」という表現を使っている。市場が初期反応から冷静になれば、米利上げ軌道が、長く緩やかであることが、ジワリ安心感を醸成するだろう。

かく乱要因としては、やはり上海株乱高下。

米利上げが誘発する新興国経済危機の可能性は10月にもワイルドカードとして残る。

なお、CMEが発表するFEDウォッチ、すなわちFFレート先物から計算された利上げ開始時期の確率は15日現在で、9月25%、10月41%、12月59%、2016年1月67%、3月77%、6月88%となっている。

このシナリオになると、円建て金価格は急騰が予想される。

それから、欧州難民問題については、今朝の日経朝刊社説に書かれていた。ほぼ、ABC朝日放送で語ったことと一致。

このyou tube 動画のダウンロードも7000回を超えた。

https://www.youtube.com/watch?v=cG_sjT9O8zs

 

 

 

2015年