豊島逸夫の手帖

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「130円まで真空地帯」ヘッジファンド、どう動く

2015年6月8日

5月雇用統計がほぼ「満額回答」に近い結果となり、米利上げの切迫感が強まってきた。ヘッジファンドの中でも、世界経済の流れを読み中期的ポジションをはってくるグローバル・マクロ系が、ドル買い・円売りの流れに乗り始めている。米利上げの現実味が強まれば強まるほど、ドル買いは加速して、円やユーロは売られやすいとのシンプルな読みだ。彼らが本格参入してくると、円売りの波も2~3ヶ月は続くことが予想される。

いっぽう、120円から123円台への円急落局面で主役であったCTA(コモディティー・トレーディング・アドバイザー)は124円台で早くも利食ったところもある。CTAは、基本的にトレンド・フォロー即ち、足元の短期的流れの勢い(モメンタム)に乗って「急ぎばたらき」に徹するヘッジファンドだ。雇用統計の好結果により、125円台から新たなドル買い・円売りの仕掛けに動く兆しが見られる。「125円から130円まではさしたる抵抗線もなく、相場の真空地帯。」とのつぶやきが印象的だ。

彼らが、「円安ジグソー・パズルで欠けたピース」と指摘するのが、米国経済の個人消費動向。今週発表の小売統計好転などで、ダメ押しが欲しいところだ。イエレン氏などエコノミストは、米国経済の生産性低下にも目配りするが、ここは構造問題ゆえ、3ヶ月程度でワン・クールの投機的売買では材料視されにくい。

そして、ギリシャ債務問題も、米利上げ時期に影響を与えかねない不安定な展開だ。FOMC声明文にも、「国際要因」の存在が明記されている。

そのギリシャ情勢だが、IMFへの月末一括払いを選択した結果、とにかく、5日には不払いという事実を作ってしまった。188の参加国からなる国際的基金から借りたカネの返済が先送りということで、デフォルトの範疇には入らないが、あらためて「ギリシャは約束を守らない国」との受け止め方が感情的に強まっている。ユーロも所詮は「約束事」との認識も芽生える。

いっぽう、アテネの現地紙を読むと、「欧州はギリシャを必要とする」との論調が目立つ。「本気でギリシャを切れるのか?」との挑戦的見解だ。「5日に返済する程度のカネは埋蔵金をかき集めることで可能だったが、救済交渉で譲歩を引き出すための戦術として不払いの事実を見せつけた。」との解説もある。チプラス首相とプーチン大統領が再び連絡をとった、などの報道も流れる。銀行預金引き出しも急増中。ユーロ離脱モードに備えつつあるように思える。

かりにデフォルト・ユーロ離脱の現実味がいよいよ強まれば、混乱する市場で有事の円買い勃発の可能性も否定できない。ヘッジファンドの視点では、円売りポジションを手仕舞う恰好の口実となる。

これまでどおり「投機筋主導」の展開だが、「雇用統計」による裏付けを得て、ヘッジファンドは円売り第二ラウンドに食指を動かせている。

ドラギ総裁の言うごとく「ボラティリティーの高い状況には慣れる。」という心構えが必要なようだ。

国際金価格は雇用統計後、1160ドル台にまで下落。

もう、底値だね。

プラチナも1100ドル割れたし。

利上げを充分に織り込んだ。これからサプライズがあるとすれば、利上げ後ずれのほう。

さて、週末は大阪のABC朝日放送で、生放送のギリシャ・トークやってきました。吉本系なれど、バラエティーの中では、まともに経済政治問題を取り扱っている。

それから、明日BSフジのプライム・ニュースに出演予定。テーマは中国。なにやるのか打ち合わせはこれから。

関西出張では、6月6日が美山のアユ解禁日だったので、大将自ら釣ってきたアユを堪能♪当日は低温でアユが引っ込んでしまって、アユ釣り名人の大将でさえ、難しかったとのこと。

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あとの写真は、大阪でのスタジオ風景。心斎橋の凄い人、人、人。ほんとうに中国人が多い!

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そして、日経ヴェリタス今週号の「逸's OK!」のテーマは「一帯一路、終着駅はアテネか」。

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そういえば、らく山で、昼生出演した番組見ていた女性がたまたまいて、ビックリした。

最初「正義のミカタ」という番組名のメールが迷惑ボックスに入っていたときは、怪しいwと思ったけど、地上波としては想定外にまともだった。勿論、突っ込み、突っ込みで言ったもの勝ちの世界だけどね(笑)。

2015年