5月20日夜、大手町の金融ビレッジで日経CNBC放映の「金融討論」公開収録を行います。テーマは「米利上げ後の世界」。闘う(笑)相手は、為替の専門家、尾河眞樹(シティーバンク)。身内みたいなものなので、ほのぼの和やかな「闘論」になりそうだけど。
参加申し込みは↓
http://www.nikkei-cnbc.co.jp/program/kinyutouron/
日経CNBCのホームページに出てます。
さて、今日のブログ・テーマは「マイナス金利解消の兆し」
どうやら欧州中央銀行(ECB)の量的緩和政策に乗ったユーロ売り、欧州株・欧州国債買いの賞味期限が切れてきたようだ。
売買回転の速い投機マネーが、巻き戻し合戦を開始した。
異常に膨れ上がった投機性ユーロ売りポジションが、利益確定のため買い戻されている。ドルインデックスも一時は100の大台をつけたが、今や94台まで下がってきた。
異常に膨れ上がった欧州国債買いポジションも、売り戻されつつある。そもそも、10年カネを借りるのに、金利が米国よりスペイン・イタリアのほうが安い、ともいえる現象に、首をかしげる市場関係者は多かった。しかし、最終的にはECBが買ってくれるという確証があればこそ、ヘッジファンドも南欧国債を買い進んでいた。
独国債も7年債までマイナス利回りになるほど買われ、次は10年債か、とまで言われた。カネ貸すほうが手数料まがいのチャージを払うことに、誰もが素朴な疑問を感じていたはずだ。しかし、「世界的カネ余りゆえの珍現象」として受け止められてきた。それが、ここにきて、5年債まで相次いでプラス利回りに転じている。
ようやく正常化の兆しか、と読めなくもない。少なくとも、これまでが異常だったのだ。
米国では金融正常化の過程で、売られるはずの米国債が買われ、これまた、皆が違和感を覚えていた。しかし、マイナス金利を払うよりマシとばかりに、マネーは米国債に流入し続けた。それが、ここにきて売られ始めている。10年債利回りも2%の大台を回復した。とはいえ、依然、歴史的低水準であることに変わりはない。振り返れば、2014年初頭には、「量的緩和縮小の年ゆえ、10年債利回りも3%から4%程度まで上昇する。」と殆どのプロ(含む筆者)が読み違えたものだ。
利上げするのかしないのか、煮え切らぬFOMCに焦れて、市場が「正常化」の道を先導し始めたということか。
そのFOMCは今回の会合で、利上げ開始時期に関する表現を一切声明文から削除して、今後は毎回会合ごとに、経済データを吟味しつつ金融政策を決めてゆくことを明示した。
こうなるとマーケットは、益々、当惑する。日々発表される各種マクロ経済データに振られる状況が続くことになる。
果たして、殆どのデータが利上げ開始を正当化するような日など来るのだろうか。
いつ来るともしれぬ日を、イエレンFRB議長は、待ち続けるのか。忍耐強くの表現をFOMC声明文から削除したとき、「だからといって忍耐強くなくなったわけでもない。」と同氏は語った。
結局、企業経営同様に、ある時点で、総ての条件が揃わなくとも、決断が求められることになろう。
イエレン氏は、優れた学者であるが、経営者的決断は苦手と見える。
いつでも利上げを決定できるように金融政策の自由度は確保しているが、その代償は、市場で高まるボラティリティー(価格変動)だ。
いっぽう、ヘッジファンドにとっては、利上げに関する不透明感が、マーケットを揺らす格好のネタになっている。
株式市場では「5月は売り」のアノマリーと、日米欧金融政策の微妙なブレが共振現象を引き起こし、売りの波を誘っている。
米国経済成長率0.2%まで減速のニュースも、これまでなら、「利上げ後ずれ要因」とされ、株の買い材料とされたものだ。それが、踵を返すごとく、素直に悪材料視されている。買い材料ととるか、売り材料にするか。所詮は、投機マネーのポジション次第ということを痛感する。
投資家の視点では、市場を動かすマネーが長期性か短期性か、仕分けが必要な5月である。
金価格も短期的には値動きが激しくなりそうだ。
昨晩は1170ドル台まで急落した。
先日、日経朝刊商品面でコメントした「1100ドル後半の動き」予測に変わりなし。
プラチナは依然金より安い水準。1140ドル台は安いと思うね~。ここでも、いずれ「巻き戻し」が起きれば、プラチナ>金の順ザヤに戻るよ。
さて、ギリシャ写真集。以下にズラッと。
ちょうど、旬の白アスパラ前線が北上中で、これが、デカくて、ウマかった!!
豆腐型のチーズも。
アテネでは家庭訪問。
ピレウス港の猫ちゃん。
貨幣博物館展示の金銀貨の歴史。
なお、連休中に大きな異変あれば、ツイッター@jefftoshimaでつぶやきます。なんか、あやしげな市場の景色だね~。