豊島逸夫の手帖

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世界のマネーの行方 テレビで語る、無料公開中

2015年2月26日

首題につき、昨晩2月25日に日経CNBCニュースコアに生出演して、ドル円、日経平均予想グラフ、米利上げ問題、ギリシャ問題などにつき語りました。
今日から1週間、Ustreamで無料視聴できます。
私自身が30分ほど語るところを見てもらう良い機会なので、クリックしてご覧ください。

www.ustream.tv/channel/nikkei-channel-business

のニュースコア2月25日分です

さて、昨晩は、冷静なイエレンFRB議長が、珍しく、机を叩き、相手の発言をさえぎり反論した。
イエレンFRB議長議会証言の二日目。下院の共和党議員たちから、相次ぎ、「FRB議長の政治的活動」を非難されたときの一幕だ。
「貴女は、でしゃばりすぎだ。労働問題にまで首をつっこむべきではない。貴女は、所得格差について発言しているが、問題を悪化させているだけだ。」

ここで問題視されているのが、米中間選挙直前の2014年10月17日にイエレン氏が行った所得格差についての講演だ。
「所得と富の不平等問につき私は非常に懸念している。米国内の格差は、他の先進国に比し、ここ数十年、大きく拡大している。最近も株式市場回復の過程で、賃金の伸びと労働市場の回復は遅れている。」と述べた。
議会証言の場で問題視される背景には、「米国の量的緩和政策による株高の恩恵が庶民層にまで浸透していない。」との認識がある。中間選挙で民主党が敗れたのも、民主党は公平な所得分配を実現できなかった、との選挙民の不満が一つの要因であった。
そこで、中間選挙に勝利した共和党は、「量的緩和の本尊」ともいえるFRBに対して、厳しく刃を向けるわけだ。
FRB議長の下院議会証言は、その恰好の場と化した。
共和党側は、公開されているイエレン議長の日々のスケジュール記録を持ち出し、政治家とのミーティングの回数を問題視した。民主党議員との回数が多い、オバマ大統領やルー財務長官との会談も含まれる、などを取り上げた。
更に、FRBを「監査」すべし、との主張まで飛び出している。
対して、イエレン議長は、それらのミーティングで、FRBの金融政策を論じたことはない、と強く反論。中央銀行の独立性にかかわる問題ゆえ、断固譲らない。
格差に関する問題講演についても「私は、政治的主張はしていない。米国が直面する重要な問題を論じただけだ」と反論した。
「前任者たちも、金融政策以外の広範な一般経済問題につきコメントしてきた。私も同じ行動をしているだけだ。」とも語っている。
初日の利上げ議論のときの冷静な受け答えとは対照的に、二日目は時に感情をおさえきれず反論するイエレン氏の姿が目立った。

量的緩和が抱合する格差問題は、「ウォール街だけを潤した。」とされ、一時はウォール街占拠運動にまで発展した経緯もある。
同じ量的緩和を進め、格差が経済学のホットなテーマとなっている日本とっても、他人事ではない問題ゆえ、今後のFRBと共和党との不協和音の行方が注目される。

2015年