豊島逸夫の手帖

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円の「5月売り」、遠のく追加緩和

2015年5月28日

多くの投資家は、株のセル・イン・メイに身構えていた。

ところが、結果的には、5月に売られたのは円となった。この時点で一時124円を超すほど急激に円が売られるシナリオは想定外だったといえる。

追加緩和のタイミングも(あるとしても)かなり後ずれしそうだ。

現円相場水準で追加緩和を実施すれば、130円接近も視野に入る円安を覚悟せねばならぬ。自国通貨安誘導のそしりを受けるは必至である。特に、中国を訪問したIMF調査チームが、「もはや人民元は、安すぎることなし。」と認定したことが、ジワリ効きそうだ。

黒田日銀総裁は「必要となれば、躊躇なく行動する。」ことを繰り返し述べてきた。しかし、現為替水準が持続して、円安の悪影響が景況感に及んだ場合、「躊躇なく」追加緩和出来るだろうか。

日銀にとって、想定より速いペースでの円安進行が悩ましい問題となりそうだ。

日本株も、年後半追加緩和で更なる株価上昇のシナリオが多かった。それだけに追加緩和なしの可能性が強まった場合、どこまで現在の買いが持続できるか。緩和依存相場から脱却して、独り立ちとなれば、企業業績改善、「ROE革命」などの真価が問われる相場となろう。

なお、今回の円安急進で、欧米市場では日本株への期待度が俄かに高まっている。日本では、円安の株価への影響が中期的に薄まる傾向も指摘されるが、欧米では、「円安は日本株にとってプラス要因」との従来の見方が変わっていない。円売りヘッジつきという条件での日本株買いが、顕在化しそうだ。ヘッジファンドも、「日本株買い・円売り」のいわゆる「ジャパン・トレード」の復活を目論む気配を感じる。2014年に、この「ジャパン・トレード」が数少ない稼ぎ頭であったので、夢よもう一度の思いがにじむ。

円建て金価格は円安効果で底堅い状況が続きそうだ。

NY金価格には利上げという強い売り要因が働くので頭が重い。

当面の下値は1170ドルか。長期的に底値圏との認識は変わらない。

中国・インドの現物買いも1170ドル以下になれば、活性化しよう。

今日の写真は、日経CNBCの特番二つ告知。

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昨晩食べた、青森直送、山菜盛り合わせと、イチゴデザート。

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新大久保という街にある、隠れ家的プライベート・キッチン。

シェフ一人で38年間切り盛りしてきた店。

大久保通り拡張工事で、再来年には移転するそうな。

もう20年通っている店です。

2015年