2015年3月24日
「金融正常化の過程では、金利が時には上がるときもあり、時には下がることもある。」
23日スタンリー・フィッシャーFRB副議長のNY講演でのこの発言が市場の注目を集めた
FRBが再度利下げに追い込まれるような事態とは、どういうことか。
それは、同氏が講演の中で具体例を挙げている。
「予期せぬ原油急落、地政学的リスク、米国経済がはらむ経済リスクなど。」である。
実は、イエレン議長も、利上げで市場が乱気流に見舞われるリスクを既に見込み「金融正常化のプロセスでは、市場のボラティリティー(価格変動)は高まる。」と警告してきた。そのうえで、「金融システム安定委員会」をFRB内に創設して、フィッシャー副議長をその委員長に任命している。バブルの再発を想定して、安全網を検討しているわけだ。
フィッシャー氏といえば、MITでバーナンキ氏やドラギ氏を教え子とした大物副議長である。2014年12月1日のNYでの公開対談でも「ベン(バーナンキ氏のファーストネーム)は、MITで、理論にとらわれず、現実的に対応することを学んだ。これはMITの伝統的考え方だ。」と述懐している。
バブルの兆しが起きれば、利下げを含め現実的に対応することは、彼らにとって、当たり前の話なのだ。
くしくも、23日には、ブラード・セントルイス連銀総裁が、複数の英国メディアで、「ゼロ金利を放置すると、重篤な資産バブルのリスクがある。」「2013年5月に当時のバーナンキFRB議長がテーパリングの可能性を示唆したときの市場大混乱が再発する可能性がある。」などと語った。同氏は、ややタカ派よりのスタンスだが、FOMC投票権を持たないので、比較的自由に発言することで知られる。
なお、フィッシャー副議長は、年内の利上げ可能性について、断定に近い表現で示唆したが、この発言は以前にも行っている。NYで年金運用担当者たちが、「6月だろうが9月だろうが、構わない。とにかくフィッシャー副議長が、年内利上げ確実と語っているので、長期運用の視点では、それで充分。それより、2017年頃と見込まれる利上げサイクルの落としどころに注目だ。」と話していたことを本欄でも書いた。
その長期マネーが注目する「利上げのパターン」についてはフィッシャー氏がこう語っている。「FOMCは、前回2004~2007年の利上げのような、想定できる堅実なペースでの利上げを踏襲する予定は無い。スムーズな利上げの道筋はまず考えられない。」
これは、FOMC会合ごとに大筋0.25%ずつ17回連続引き上げていった前回とは異なり、利上げする会合もあり、利上げを見送る会合もあることを示唆している。慎重な利上げ、利上げは急がずなどとコメントされる所以だ。
そのうえで、フィッシャー氏独特のユーモアを交え「0%はウルトラ金融緩和、0.25%から、0.5%に上がっても、極度な(extremely)金融緩和。」と語った。
総じて、今回の利上げの落としどころは、FOMC声明と同時に発表されたFRB経済予測によれば、2017年末で3%前後の水準だ。それでも、FFレート先物市場が示唆する2%台に比し、かなり高い。かりに、FOMC参加者の金利予測が、市場の示す予測値に収れんするとすれば、利上げといっても0%から2%台への、極めて浅い(shallow)道筋となろう。
短期マネーのヘッジファンドは、利上げ6月か9月に注目するが、年金や個人の長期マネーにとっては、「利上げ、恐るるに足らず」。株などリスク資産を志向している。
日経平均2万円接近中でも、日本株に流入する海外マネーにも、今回は年金などの長期マネーが目立つ。分散運用でリターンとリスクの最適化を目指すマネーが、日本株のROE相場に注目していることを筆者もNYで充分に体感した。日本企業をおカネがいっぱい詰まった貯金箱に見立て、それが壊されつつあるイメージを語り、「今回の日本株上昇は、今までと違う。」とつぶやいた旧知の年金運用担当者の表情が印象的だった。質の良い器には質の良いマネーが集まる。その器の置かれた「市場環境」は、史上最も低水準の緩やかな米利上げと、米国以外の総緩和状態である。
金市場にとっては、追い風。
1190ドルまで上がってきた。
まだ利上げまでヘッジファンドの短期売買で下に振られる局面もあろう。
時間をかけ、1100ドル台の底値を固めてゆく過程は続く。
円建て金価格は、短期的に円高気味なので、上値は重い。とはいえ、中長期的な、日米金融政策の方向性の違いによる円安要因は根強い。米国サイドのドル高警戒モード、日本サイドの貿易収支赤字幅が徐々に縮小など円高要因もあるので、円安のスピードは昨年に比しスローテンポだ。しかし、中長期的円安の方向性は変わらない。
昨日の原稿は初心者向け。今日のは中級者向け。めりはりつけるよ。
さーて、もう春だね~。
山菜、筍の季節だ(桜より食い気 笑)。
昨日の我が家の食卓には、ウドのゴマ風味(写真)。太いウドで、香りに季節を感じた。
今朝も、きりたんぽ。三日目になると、ますます、味がまろやかになる。
明日の朝食は、さすがに、パンかな(笑)。
最近は出来立ての食パンだけ売る店も商店街にできたりして、ホカホカのパンを食べられるようになったのが、これまた嬉しい。調理パンより、ホカホカ出来立て食パンをそのままかじるのが好き。オリーブオイルをちょっとつけてね。
炊き立てごはんや、オーブンから出立てのパンがなによりだね。
それだけで個人的にはミシュラン3つ星だよ。