2015年5月25日
「読めば読むほど分からなくなる。」
22日のイエレン氏講演原文を読んだ、ニューヨークのヘッジファンドの呟きだ。
「年内のある時期に利上げ開始が適当。」と確かに述べているのだが、問題はその前後の文脈。
まず、「もし、私が期待するように経済が改善したら」との前置きで始まっている。
更に、後には、但し書きつきだ。
「しかし、この利上げのステップを支持するため、私には、労働市場の継続的改善と中期的にインフレ率が2%に戻るという確信が必要だ。」
そして、市場関係者を当惑させたくだりが、「経済予測」についての発言だ。
「経済見通しは高度に不安定なもの。私の長年の経験で、確信をもって申し上げられることは、私が述べてきた予測は結局間違えるもの。それも、たぶん、著しく(markedly)。」
同講演では、米国回復を抑える三つの逆風を論じていた。
一つ目は、住宅市場。足元での指標に改善は見られる。とはいえ、「シェア・ハウス」や「多くの若者が両親と同居」などの現象が見られる。回復傾向ではあるが、そのペースは緩やかとなろう。
二つ目は、財政政策の制約。経済回復傾向がまだ弱いのに、連邦政府の財政政策が足を引っ張っている。しかし、税収増加なので、この逆風は収まりつつある。
三つ目は、海外要因だ。特に欧州と中国。世界的経済減速とドル高だが、世界的金融緩和政策により、収束しよう。
更に、原油安については、一家計あたり年間約700ドルのガソリン支出節約効果が見込める。
総じて、実質GDP成長率は、今後数年、およそ2.5%が見込める。失業率も年末までには5%近くまで低下しよう。インフレ率も2%に戻ることを期待する。
ここまで詳説したうえで、「私の予測は間違える。」と述べたので、「読めば読むほど分からなくなる。」というわけだ。
最後は、おきまりの「経済状況が予想より早く改善すれば、利上げも早まろう。しかし、経済が芳しくなければ、金融正常化ペースはスローになる。」
そもそも、FOMCの最新の方針として、利上げ時期について、カレンダーで年月などの具体的言及はしないことになったので、今回は「年内のいつか」と、これまでより曖昧な表現になった。
市場とのコミュニケーションを重んじるFRBだが、市場の当惑は強まっている。
結局、毎会合ごとに決めるということは、いってみれば「でたとこ勝負」みたいな状況だ。
いざ、「利上げ」という伝家の宝刀を抜くときの、市場の混乱は激しくなってしまう。
2013年5月、バーナンキ氏が、テーパリングを示唆しただけで、市場は大混乱に陥り、いまだに「テーパリング大波乱」として語り継がれている。
その苦い経験があればこそ、FRBは、市場とのコミュニケーションを重視するようになり、フォワードガイダンスを通じて、金融政策の方向性を明示するようになった。
しかし、その方向性明示が分かりにくくなり、市場はイエレン氏や地区連銀総裁の発言で大きく振れる状況が続きそうだ。
賛否両論うずまく利上げ議論。早期利上げか、利上げ先送りか、完全な解はない。議長のイエレン氏は、反対論を抑えて、どちらかに決めねばならない。優秀なエコノミストとしての分析力ではなく、経営者的な判断力が求められているのだ。
金価格の頭が重いのも、米利上げがちらつくから。
イエレン氏の真意が知りたいものだ。
ドル円は利上げ予測でドル高円安。121円台後半。従って、円建て金価格は割高。
さて、今日の写真は、裏磐梯のゴルフ場。また行ってきました。
米ゴルフダイジェスト誌で、世界で最も美しいパー5のトップ10にランク入りしたパー5。
まだ雪が残る磐梯山に向かって打つパー3。
首にタオル巻いてるのは熱中病予防対策。スキー40回やったあとは、カラダが寒冷地仕様になってる(笑)。
湿原の中にティーグラウンドがあるパー3。
これから菖蒲の季節。
すっかりはまりました。