2015年3月16日
先週金曜から週末にかけてNYのヘッジファンド・年金運用担当者などに招かれ、ラウンド・テーブル(日本風にいえば勉強会)に参加した。
日本株については、ホットな話題として最も注目されたことが、ファナック株の高騰だ。
特に、長期マネーの年金基金・大学基金などの間には、日本企業の情報開示・IRに対して懐疑的な見方が多かったゆえ、「日本を代表する保守的な企業が、IR部門強化に乗り出すことは、波及効果が期待できるのか?」という質問が多かった。ROE重視を含め、投資対象としての日本企業の「質」の向上がある程度確認できれば、かれらのリアルマネーが日本株へのアロケーションを増やすことに対する社内的ハードルが低まることは間違いないと感じた。
くしくも、13日の金曜日に、外為市場でドルインデックスが遂に100の大台を突破した。ドル高騰の米企業業績への悪影響が予想以上に懸念されている。そこで、欧州株と日本株へのリスク分散が、これまで以上の切迫感を持ち、検討されている。
日経平均19000円とか20000円とかの節目の大台は日本ほど意識されていない。欧米企業と同じ土俵の財務基準にのり、日本株投資が正当化できれば、長期マネーは運用方針に従い、粛々と買い続ける。ライバルはアベノミクス円安を想起させるECB発ユーロ安の流れにのった欧州株だ。
いっぽう、ヘッジファンドは、2015年に結果を出さないと見はなされるとの危機感があるので、日本株でもなんでも、だぼはぜ的に売買妙味があれば、貪欲に仕掛けてゆかねばならぬ状況に追い込まれている。ファナック株高騰も、日本株買いを囃すうえで、恰好の材料だ。但し、sell in May(5月は売り)の相場格言が今年は例年になく意識されている。ギリシャ救済延長期限が6月。米利上げの切迫感も6月には更に強まると予測されるからだ。従って、日本株買いも5月までの勝負と割り切っている。
なお、現在時点では、かれらの主戦場はユーロ、欧州株、欧州債券にあることは確認できた。しかし、欧州中央銀行(ECB)量的緩和の賞味期限も、今月中には薄れそうと読みも感じられる。そうなると、次の一手は、ジャパンということになる。ドル資金引き揚げ観測で、新興国株が不安視されているおり、消去法的にも日本株が残る。ちなみにインド株だけは期待感が強かった。
先物取引所のNYMEXにも寄ったが、原油先物価格WTIは期近もので再び44ドル台まで急落した日。ピット(立会場)では、一時の底入れ感からロング(買い持ち)に走っていた投機家たちの、見切り売りが顕著だ。
但し、原油先物価格の清算値を見ると、長期的には先高観がにじむ。2015年4月限の期近では44.84ドルだが、2015年8月ものは50.29ドル。2016年1月もので55.34ドル。2017年3月もので60.08ドル。2018年12月もので64.02ドルなど、現先スプレッドが先高(専門用語でコンタンゴ)の状態だ。これが、原油100ドル時代には先安(バックワデーション)つまり、スポットが100ドルでも先に行くに従い80ドル台という先物価格形態だった。
短期的にはCTA(コモディティー・トレーディング・アドバイザー)というトレンド・フォロー型のヘッジファンドが売りに走っているが、長期的には、現状の低価格は続かず、と見ているわけだ。
総じて、3つのEがキーワードであった。
Euro、Energy(エネルギー価格)そして、End(米金融緩和の終了)である。もうひとつEasy Money(低金利で豊富に調達可能なマネー)がドルからユーロと円にシフトしていることも実感した。
NYは一泊3日のとんぼ返り。
でも、冬季はスキーで常にリフレッシュできているので、体調はバッチリ。最近、反省というか感じているのは、甘い物多少控え気味のほうが、カラダのキレがいい。スキーの体重移動が軽くスムーズにできる。満腹になると、どうも、キレが悪くなる。