豊島逸夫の手帖

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中国は対テロ国際協調に反発の兆し

2015年11月19日

ISへの空爆で米英仏ロが足並みを揃えるなか、自国内に少数民族テロ問題をかかえる中国は一線を画している。

中国共産党系とされる英字紙グローバルタイムズ19日付け社説は、厳しく反発・批判の論調を展開した。

「西側諸国は大きな被害をこうむるときに限り、ロシアや中国と対テロで協調したがる。状況が変化すれば、彼らの地政学的利益とイデオロギー的パラノイア(妄想)のほうが重要になる。西側と東側の対テロ協力が実現するのは、西側が東側の援助が必要なときだけ。東側でのテロは西側社会により常に人権問題と関連づけられる。」

そのうえで、フィナンシャルタイムズが記事で「人権団体はウイグルでの殆どの襲撃は、中国政権支配に不満を持つ若者たちがナイフや粗末な爆発物で実行されると言う。国際人権NGOアムネスティーは中国側の主張を、極めて政治的で問題が多いと主張。」と書いたことを例に挙げている。ウイグル自治区でのテロや暴挙はテロ行為とみなさないことの事例としているのだ。

「それはエゴイズムであり、上海の高層ビルのパリ・テロ犠牲者のための照明は値しないであろう。」としている。

この社説で引き合いにだされたFT記事は、17日付け「中国は、西側をテロのダブルスタンダード(対象によって異なった価値判断の基準を使い分けること)と非難」との見出しの記事と思われる。

そこでは、「フランス首都での虐殺から一日もたたぬうちに、中国の外務大臣は、ETIM(東トルキスタンイスラム運動)に対する国際的弾圧を要求。中国共産党は、中国からの独立を支援するウイグルのイスラム系少数民族による一連の攻撃に関して、ETIMを非難している。911米国同時多発テロ直後に、中国はETIMをテロ組織と米国・国連に認定させた。しかし、ETIM関与の充分な証拠を中国側は提出していない、と人権団体や多くの国々は言う。」

として、詳細に報じている。

時あたかも、共同通信は、米政府系放送局ラジオ自由アジアの「新疆ウイグル自治区の警察当局が、「テロに関わっていた17人」うち4人女性、3人子どもが隠れていた洞穴を爆破して全員を殺害したとの報道を伝えている。

トルコでのG20でも、当初は中国経済についての議論が展開される予定が、急遽テロ対策一色になったことで、習近平主席も複雑な思いだったかもしれない。オバマ大統領とプーチン大統領が珍しくホテルロビー片隅で膝詰談義している写真ばかりが世界中に流れ、習近平主席の存在感が相対的に薄かった感は否めない。そこには、少数民族問題をかかえるので、一線を画すかの如き印象も残る。

中国政府も公式にはパリ同時テロ犠牲者に哀悼の意を表している。

また、欧州でも爆買いが目立つ中国人旅行者が今回、直接被害にあったとの報道は見られない。しかし、今後、万が一巻き込まれるようなケースが生じたときには、国民感情も考慮せざるを得ないだろう。

米英仏ロの対テロ協調ムードに、中国側が、これからどのように動くのか、注目されるところだ。

なお、中国外務省は、ISによる中国人殺害を確認。習近平主席は、ISを強く非難。テロ弾圧を宣言した



さて、金プラチナ価格は、さすがに若干反発したが、それでも、1070ドル台と850ドル台。今回の金の下げについては、円安が123円台まで進行しているので、円建てで見ると、ドル建てほど価格はさがっていない。いっぽう、プラチナがここまで下がるのは想定外だった。個人の買いは、割安感のあるプラチナが多いね。これは共感。昨晩は、FOMC議事要旨で、12月利上げが、よほどの大きな変化がないかぎり、ほぼコンセンサスとなっていることが確認されている。利上げと金価格のせめぎ合いも最終局面近し。

今日の写真は、昨日対談した岩崎恭子さんと、ホンモノの金メダル。彼女14歳の時、バルセロナオリンピック水泳だったね~~。ホンモノの金メダルに本人の前で触るのは初めてなので、コーフンした(笑)。

やっぱり、実物は迫力あるよ。いまや、最年少オリンピック金メダリストもママさん。米国生活体験があるので、資産のドル建て資産運用にも抵抗感なし。というか当然のこと。ただ、投資となると、元本保証がないと心配という慎重派。でも、今や、安全資産などないことを話し合った。分散あるのみ。

ということで、内田恭子さん、岩崎恭子さんと国際派恭子さん二人連日対談おしまい。まぁ、ぶっちゃけ、おっさんと対談するより、楽しいのは当たりまえかw我ながら写真の満面の笑い顔みて苦笑。。。。

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2015年