豊島逸夫の手帖

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中国経済構造改革―国営企業編

2015年12月11日

中国では、基幹産業の多くが国営企業により独占されている。
競争原理は働かず、優先的に銀行融資を受けられるので、親方日の丸の精神が社内にも蔓延。
習近平政権は、そこにメスを入れようとしているのだが、既得権益を持つ抵抗勢力は根強く、遅々として進まない。
理屈からいえば、民営化すれば良い、ということだが、100%民間に委ね、国は一切経営にも口を出さないなどということは、中国では考えられない。筆者も、中国企業の社長室をいろいろ訪問するたびに、中国国旗と国家主席の写真が社長デスクの後ろに飾られている光景を見てきた。社長の名刺にも、社長の肩書とならび、党地方書記などの肩書が誇らしげに添えられていた。上海の財界人たちも、目は常に北京に向けられている。結局、党の影響力は維持しつつ、どこまで幹部人事などを自由にやらせるか、という微妙なバランスが必要とされる。

ROEに似たROA(総資本利益率)を比較した統計を中国の研究機関が出しているが、民間企業平均9.1%に対して、国営企業は4.6%にとどまる。
この非効率的大組織の構造を変えようとすれば、当然、失業が生じる。90年代後半に当時の朱首相が、この国営企業民営化に大ナタを振るったときは、2千5百万人の失業者が出たと言う。これは、当然、社会不安のもとになる。党本部が最も嫌うところだ。
結局、緩やかに、国民の痛みを抑えつつ、出来るところから民営化、株式の新規上場、不良資産売却を進めることになろう。
最近は、大型国営企業のM&Aによる効率化の例も出て来た。
しかし、中国経済減速の2016年、国営企業のかかえる問題が、すみやかに改善される可能性は極めて低い。

さて、話はガラッを変わって、暖冬!雪がない(涙)。
雪国の方々にとっては、冬の雪は生活の敵だけど、スキーヤーにとっては、雪が降らない冬は、残念無念。
例年、クリスマスはスキー場だけど、今年はもう、諦めた。
ヤケになって、24、25、26日と、ギッシリ仕事入れちゃった(笑)。 25日なんて、東京で夜10時テレビ生出演してから、翌朝早朝便で大阪にゆき、朝9時からテレビ生出演。3時間半の年末特集番組。もう、完全にやけっぱちだよね。あと経済誌の新年号対談だとか、なんとか、かんとか。仕事に没頭して、スキー出来ない悔しさを忘れられるか!?

2015年