豊島逸夫の手帖

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黒田発言、突然の円高を誘発

2015年6月10日


実質実効為替レートが、「かなりの円安水準」としたうえで、これ以上の円安は「ありそうにない。」との黒田日銀総裁国会発言が、突然の円高を誘発した。日銀総裁の為替に関する発言としては異例の言い回しといえる。これを受けた外為市場では、124円60銭台から数十分の間に123円台攻防の水準まで円が買われている。

5月米雇用統計好転により、外為市場では、ヘッジファンドや個人投機家の間ではドル買いの安心感が拡散していた。しかし、この報道を受け、一斉に、手じまいあるいは、損切り(ストップロス)のドル売り・円買いが発動されている。

NYは現地深夜だが、為替急変が伝わるや、続々状況確認の電話・メールが相次いでいる。


急激な円高は、株式市場にも波及。日経平均も乱高下。2万円の大台が視野に入る展開だ。

世界的に金利が「説明のつかない」動きを繰り返し、市場の警戒心が強まり、リスクオフ・モードに入ったところでの、日銀総裁の「口先介入」ともいえる発言は効いた。

NYのヘッジファンドたちのポジションも、大きくドル買い・円売りに傾いていただけに、一斉に巻き戻しに走っている。

ドラギECB(欧州中央銀行)総裁の「市場のボラティリティーの高さには慣れるべし。」との発言を裏付けるような乱気流に遭遇した市場は当惑している。

2015年