2015年1月5日
2015年初、株式・外為・債券市場における海外マネーは欧州に向かっている。日本株と円は相対的存在感が薄い年明けだ。
結論からいえば、追加緩和が当面見込めない日本と、国債購入型量的緩和導入に切迫感が強まる欧州との差を市場は映している。
「価格安定目標を達成できないリスクは6ヶ月前に比し、高まっている」
欧州中央銀行(ECB)ドラギ総裁が独紙とのインタビューで語ったこの一言が、ユーロ売りを加速させた。原油安によるインフレ率下落圧力と、ギリシャ総選挙決定が背景にある。
ドル・ユーロは1.20という極めて重要な節目の攻防となった。
ドルインデックスも91台を突破して、昨年来の騰勢が止まらない。
ヘッジファンドの通貨売り標的も、円よりユーロとなっている。
株式市場では、本格量的緩和期待と割安感から欧州株が注目されている。「米国株か欧州株か」。ウオール街の年初の議論も、この点で意見が割れる。日本株は、中国株や新興国株と同じ範疇で補足的に語られるなど、当面やや影が薄い。
そして、債券市場では、独国債へのマネー流入が加速。5年債までがついにマイナス金利となった。
更に、スペイン・イタリア10年債利回りも、それぞれ1.5%と1.75%まで下がってきた。
ECBの購入期待から買われているわけだが、米10年債利回り2.1%を遥かに下回る水準が、常態化してしまった。
ギリシャ不安が再燃しているのに、南欧国債が買われる。
しかも、10年間カネ貸すのに、金利は、スペインより米国のほうが安いとは、どうみても異常な現象だ。それも、絶対水準が1-2%という低レベルである。
結局、欧州も官製相場と化したということだろう。
アナリストたちは、ECB量的緩和の効果について懐疑的だ。
しかし、ヘッジファンドは聞く耳を持たず「中銀には逆らうな」と動く。
ECBの国債購入型量的緩和決定時期も、前回のECB理事会後の記者会見時には3月説が最有力とされた。しかし、前述のドラギ・コメントで俄かに1月説が浮上している。
1月22日ECB理事会、1月25日ギリシャ総選挙。
この山場を越すと、欧州関連材料出尽くし・ポジション巻き戻しで、再度、日本株買い・円売りのジャパントレードにお鉢が回ってくるシナリオが考えられる。
ワイルドカードが中国。
日本の年末年始期間中も、発表された中国マクロ経済指標は芳しくなかった。追加利下げ・銀行準備率引き下げ期待から中国株は買われやすい地合いだ。
米国も利上げ開始時期までは実質緩和状態が続く。
今年前半は、日米欧中が同時緩和の中で、相対的に「緩和度」の強い国の株は買われ、通貨は売られる状況となりそうだ。
金は1180ドル台、プラチナは1200ドル台。
こちらはドル円為替次第の展開。