豊島逸夫の手帖

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いよいよFOMC

2015年12月16日

今晩のFOMCを見る勘所は、FOMC参加者が見る2018年にかけての金利予測だ。「緩やかな」「浅い」利上げ軌跡と表現されるが、その元データであるドット・チャートに注目。

この金利予測は、FOMC参加者対象のアンケート調査に基づく。

今晩は、この予測値の12月時点における最新バージョンが発表される。

9月時点と12月時点の比較は、ハト派タカ派の分布の状況を見るうえで、非常に参考になる。市場には、どの予測値がイエレン議長か、について様々な憶測が流れるだろう。

かりに、予測金利分布が上にシフトしていると、早い利上げペースと解釈され、ドル高、円安、NY金安となりそうだ。そして日本株には為替要因が上げ材料となろう。

逆に下にシフトすれば、極めてゆっくりした利上げということで、ドル安・円高・NY金高に振れよう。日本株は、円高の下げ要因と、実質緩和相場継続による上げ要因が交錯する。

サプライズシナリオは、利上げ見送り。大多数が利上げを織り込んでいるので、想定外となり、円売りポジションが一斉に巻き戻され、円高が急進する可能性がある。目途は8月24日のフラッシュ・トレードで瞬間的に示現した116円台か。日本株は、急激な円高で、日経平均18000円割れも視野に入る。但し、いずれも、一時的な現象となろう。円建て金価格には大きな変動なさそう。

さて、金利予測についての付記だが、FRBのスタッフは、FOMC参加者より低めに見ていることが、7月24日に明らかになった。スタッフ作成の内部資料が、誤まって6月24日にHP上で公開されてしまい、その事実をFRBが認めたからだ。

民間の金利予測も、同じように、FOMC参加者より低い。

今晩のイエレン議長記者会見では、このギャップについての質問が飛ぶかもしれない。

今回の利上げサイクルが、どれほど緩やかなペースで進行するのかは、市場も最も関心を寄せるポイントでもある。

2015年