2015年6月22日
ギリシャ問題は、週末にも進展がなかった。デフォルトの確率は益々高まっている。その場合、どうなるか。あらためて吟味してみたい。
まず、月末一括返済に実質返済を延期したIMFからの融資が、月末に返済されない場合。
これまでのIMF副報道官マレー氏らの公式な説明では、「そもそもIMFは188か国の基金で、我々にはカストディアンとしての受託責任がある。そこで、IMFから融資を受けた国は、188か国から借金しているということだ。」とされる。
そこで、返済遅延国として正式認定されると、IMFからの新規融資を受けられなくなるということになる。
ここが、国債のデフォルトと異なるところだ。
ELA(緊急流動性支援)というギリシャ民間銀行への生命線を握るECB(欧州中央銀行)も、IMFへの返済遅延を理由にELAを打ち切ることは考えにくい。ECBの一貫したスタンスは、「ギリシャ債務問題の決定は政治に委ねられる。」ということで、あくまで政治の判断に従って動く方針だ。なお、ECBはここにきてギリシャ民間銀行からの預金大量流出に対応するため、ELA総額を若干増額している。
とりつけは極力回避したい構えだ。但し、独連銀総裁はギリシャへの強硬姿勢を崩さす、ドラギECB総裁も無視できない存在である。
そして、そのECBがかかえるギリシャ国債のなかで、約35億ユーロが償還を迎えるのが7月20日。
これが償還されなければ、いよいよ国債のデフォルトになる。
ただし、前回のギリシャ危機と大きく異なる点は、ギリシャ国債の大半が、民間銀行ではなく、ECBなど公的機関により保有されていること。民間銀行・投資家への債務不履行でなければ、正式にデフォルトとは認定されず、との格付け機関の解釈もある。
とはいえ、自行保有のギリシャ国債が償還されなければ、ギリシャ民間銀行へのELAは、ただちに停止される可能性が強い。それと前後して、とりつけも加速して、バンクホリデー(銀行一時閉鎖)など強力な資本規制が導入されよう。
以上をまとめると、ラガルドIMF専務理事は、「融資が返済されずば、7月1日にデフォルトになる。」と語っているが、これは、あくまでIMFへの債務不履行にとどまる。しかし、7月20日のギリシャ国債が償還されないと、市場はデフォルトと見なし、短期的な波乱に見舞われることになりそうだ。
続くシナリオが、ギリシャのユーロ離脱だが、実は、現行の体制にはユーロ参加国が離脱する事態は想定されていない。ユーロ参加19か国がギリシャのユーロ離脱に関して合意すれば、そこで、はじめて正式に議論の対象となる。市場ではユーロの信認が問われる事態となろうが、ユーロ圏諸国がギリシャの離脱を許容するか否かについては、まだ議論の余地が残るということだ。
更に、ユーロ離脱となった場合のギリシャの新通貨だが、ドラクマにせよ、IOUなどの代替通貨にせよ、大規模の印刷・輸送・警備などロジスティックスに膨大なエネルギーを要する。
その間に、多くのギリシャ人が他の欧州諸国へ避難民として流浪する事態となる可能性がある。ただでさえ、欧州は中東・アフリカかの大量避難民が大問題化しており、ギリシャも、地理上、その移民たちの上陸・通過点になっている。
この大量避難民問題は現在進行中で欧州を揺るがす事態となりつつあるので、ドイツ側が一時的譲歩してギリシャ債務問題を先送りするキッカケにはなりうる。アテネ現地の新聞戯画で、ショイブレ独財務相と思われるキャラクターが難民船に上陸拒否を命じているのに対して、難民船船長が、あなたはギリシャ国民を見捨てたではないか、と反論しているイラストがあった。
なお、先送りシナリオは、債権団の一部債務削減許容を意味するが、それとて、無条件とはゆくまい。今週、緊急ユーロ圏会合で議論される内容は、先送り合意するための条件論争と化す可能性をひめる。
かくして、ギリシャ情勢は電撃妥協も電撃決裂もありうる状況で、金価格は1200ドル前後の水準にて動けず。
さて、2015年版「少子化白書」が発表され、女性の平均初婚年齢が13年時点で29.3歳。この30年あまりで4歳上昇だって。未婚で恋人がいない20~30代の男女に恋人がほしいか尋ねると、欲しくないが37.6%。ホントかよ~。そもそも出会いの場所がない、が55.5%。自分には魅力がないのではないかと思う、が34.2%。オイオイ~~。
ちょっと考えてしまう現象だね。。。