2015年10月2日
昨日、一連の報道で明らかになった、EUの脆弱な体質。ここに、纏めてみた。
―今回、規制の厳しい米国で発覚したが、ディーゼル車最大の市場である欧州では、規制が出遅れた。
―EU委員会は2006年頃に、問題の偽装に使われるソフトウエアの存在を認知していた。
―そこで、2007年にEUは、排ガス検定を研究所ではなく、実地に道路上ですべしと決議。
しかし、自動車業界の強力なロビー活動で、その実施は最速2017年(!!)とされた。
―今回の米国での発覚に対して、EU側は、排ガス規制は各国政府の責任と逃げている。
―そこで、フィナンシャルタイムズ紙が、各国政府に独自の調査で聞いたところ、ドイツ、スペイン、チェコは問題のソフトウエア搭載の有無を検定していないと回答。
イギリスとフランスはノーコメント。イタリアだけが一部実施。
―このような緩い規制網のなかで、欧州の自動車メーカーは、出来るだけ規制の緩い国で実施する傾向。
一か国でパスすれば、EU加盟28か国で適用される仕組みになっている。
―いっぽう、規制側の各国政府は、規制が緩いほうが、自動車メーカーの検定を誘致できて、民間検定業者が手数料稼げる。
結局、欧州の規制は極めてあいまいだった。
EUの指導力欠如露呈。
以前から、欧州に出張すると、鼻毛が伸びるのが速いと感じていた(笑)のだけど、こういう裏事情で、大量の有害物質が排出されていたのかな。。。人間のカラダの反応は素直だ。。。
次の話題は、ガラッと変わって。
TPP漂流。非製造業依存体質から脱却できるか。
10月1日は、世界のモノ作りについて、考えさせられる一日となった。相次いで発表された主要国の経済データが、「非製造業依存」の実態をあらわにしたからだ。
まず、9月日銀短観で企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が、大企業・製造業はプラス12(6月プラス15)、大企業・非製造業はプラス25(6月プラス23)。製造業低迷、非製造業はバブル期以来の高水準と、対比が鮮明に出た。
次に、中国。
9月PMIは製造業が49.8。非製造業は53.4。ここでも、同じ現象が顕在化している。
そして、米国。
9月ISM製造業景況指数が50.2。非製造業9月分は未だ出ていないが、8月には59.0。やはり、同様のトレンドが明白だ。
その縮図が、今週国慶節連休で、ピークに達する中国人観光客爆買い現象に見て取れる。
デパートは、中国人向け化粧品コーナーを急遽、別フロアーに臨時開設するほどの売れ行き。一方、中国人観光客を運ぶ観光バスは台数が絶対的に不足。バス車両生産が、フル稼働でも追いつかないので、納期一年待ちが常態化。しかし、車両製造会社は、中国経済先行き不安で、増産のための設備投資はためらう。
では、世界的な「製造業不振」を打開する方策はなにか。
答えは、TPPに代表される「自由貿易政策」に尽きるだろう。
TPPの基本理念は、各国が比較優位を持つ産業に特化し、比較劣位の産業は譲る、との相互互恵関係の構築にある。単純労働コストが安い新興国が、世界の一次産業を担い、先進国は、より高度な産業に特化する。さすれば、世界経済のパイが大きくなり、1+1が3にもなりうる。
更に、経済政策の中で、財政・金融政策は、やり過ぎるとバブルを誘発しがちだ。しかし、最終的に関税撤廃を目指す通商政策には、やり過ぎてバブルのリスクは、まず考えられぬ。
しかも、超低金利、累積財政赤字により、財政・金融政策に、これ以上の切り札は、極めて限られる。
ところが、残念なことに、TPPは「漂流」リスクが高まっている。
保護主義が台頭すれば、世界経済は縮小均衡に向かう。
更に困ったことに、中国の人件費高騰により「世界の工場」が移転しつつある東南アジアなどの新興国から、米利上げ観測により、巨額のマネーが流出している。「世界の工場」に必要なインフラも未整備だ。
とはいえ、モノつくりがなくなることはない。
ミクロでみれば、企業は、比較優位のある地域に生産拠点を移し、企画・研究部門は日本に残している例は多い。
官のTPPが実現しないのならば、民間の協調体制を強化するしかあるまい。
TPPは漂流しても、製造業の漂流は、なんとしても食い止めねばならない。
最後は、恒例食べ物写真。
先日、パレスホテルで、ティータイム。
同じく大手町のホテル・アマンもそうだけど、いかにも女子好みのメニューと雰囲気。
でも、客はオッサンが多い(笑)。 どう見ても、オヤジ二人でケーキ食べるムードではないけど(-_-;)
爆弾低気圧で、スケジュールが狂い、振り回されているよ。
今月は、トルコなどに、欧州難民視察に行く。やっと、VISAがおりた。